今日のお話は、堅固な科学的根拠に裏付けされたものではありませんので、先に断っておきます。
「ガン」になりやすい性格とは?
このような内容の記事がありました。
150人以上のメラノーマ(悪性黒色腫)の患者さんを面接した心理学者らの見出したことであるそうです。
結論から引用すると、このようだとか。
1.怒りを表出しない。過去においても現在においても、怒りの感情に気づかないことが多い。
2.ほかのネガティブな感情、すなわち不安、恐れ、悲しみも経験したり表出したりしない。
3.仕事や人付き合い、家族関係において、忍耐強く、控えめで、協力的で譲歩を厭わない。権威に対し従順である。
4.他人の要求を満たそうと気をつかいすぎ、自分の要求は十分に満たそうとしない。極端に自己犠牲的になることが多い。
(『がん性格 タイプC症候群』L・テモショック、H・ドレイア著、岩坂彰、本郷豊子訳(創元社)より引用)
ちなみに、このがんになりやすいタイプC以外の性格は以下の通り。
「タイプA」(攻撃的、仕事熱心、苛立ちやすい性格で、虚血性心疾患のリスクを高める)、
タイプAと対極的な「タイプB」(感情を素直に表現でき、リラックスしてうまく付き合える性格)
なぜ、タイプCはがんになりやすいのか。著者らの分析だと下記とか。
タイプCは、人付き合いによって非常にストレスをためやすい面があります。
他人に失礼なことを言われても、嫌な感情を口に出しません。自分より他人の意見を優先させ、いつも協調的に接します。また、怒りやネガティブな感情を表出せず、それに気づかないこともあります。
タイプAと違っていつも雰囲気が良く、他人ともトラブルを起こすことは少ないのですが、素直な感情を心の奥で抑圧しているために、ストレスは確実にたまります。それが免疫防衛機能に影響し、ガンへのリスクを高めると考えられています。
どう読むか
これは、悪性黒色腫だけの調査のようです。
すると全部のがんに当てはまるのか、という見解が生じるでしょう。
調べてみると、原著は1992年に出ているようです。
1999年の、乳がんの患者さんの研究、すなわち乳がんの患者さんにおいて、
◎不安・抑うつテストの抑うつ領域の値が高い患者の全死亡率が高い
◎がんに対する心理的適応を評価するための尺度であるMAC<Mental Adjustment to Cancer>で無力感/絶望のカテゴリー(正確には、Helpless/Hopelessカテゴリー)の点数が高いほど、再発や死のリスクが高い
としたM.ワトソンの論文(Lancetに掲載)に、掲載誌にレターを送ってタイプCの件に関して主張するなどの活動が確認されました。
厳密な科学的にはともかく、興味深いものとしては読めると思います。
心のうちに秘めることはあまり良くないことを示唆
飛躍した結論は厳に慎まなくてはいけませんが、先述のワトソンの研究からも、抑うつや無力感/絶望感があると、再発や死亡に関連しているという結果から考えて、心理的な状態ががんの経過にも影響を与える可能性はあるということでしょう。
がんになってからも、がんになりやすい思考を正すことが、経過に関連しないとも言い切れないでしょう(もちろんこれは仮説です)。
がんになってからの良い食事も、がんになりづらい食事と同じなように。
タイプCは典型的な、うちにこもって、心を押し込めようとする性質のように読めます。
俗に言う「いい人」と呼ばれることもあるでしょう。
やはり気持ちは、親しい人や医療者などにオープンにする機会を持つことが、あるいは嫌なことは嫌と言えるほうが、がんになってからも良さそうです。
あるいは他の病気になってからも、そう言えるのではないでしょうか。
もちろん気持ちの過剰な出し過ぎもコミュニケーションを損なう可能性がありますが、普段気持ちをオープンにして失敗する傾向がある人にとっても、「それでも出して良いのだ」と励みになるニュースかもしれません。
「グッと我慢は大敵」だと言うことですね。
一つの決定的な対策で、経過が100%変わることはなく、だからこそ病を患うというのは大変なことですが、それでも総合的な対策で、合わせ技で、可能性はできる範囲で上げられるということも考えられます。
自分でなんとかすれば良いからと抱え込まず、がんなどの身体的疾患からの精神状態に詳しい精神科医等(精神腫瘍学の医師)や緩和ケア医に相談してみてはと思います。
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