緩和ケア、皆さんはご存知ですか?

緩和ケアというと、がんの末期の人の受けるもの、あるいはもう治療できない人が受けるもの、そんなイメージが少し前はあったかもしれません。

しかし、今はそうではなくなっています。

このサイトでは、今や多くの方が受ける意義があるものとなった最新の緩和ケアについて、特に治療と並行した緩和ケアについて、皆さんと考えていきたいと思います

更新してゆく「誰でもわかる緩和ケア情報」ページ(トップページ)をぜひチェックして頂ければ幸いです。

 

治療と並行した緩和ケアを訴えて10年以上になりました

“緩和医療医は積極的に内科・外科病棟に行って、がん患者に主治医とは別のもう一人の主治医として治療に参画することが必要だと考えている。

この方法が採れれば、主治医は最初から最後までずっと変わらず患者の安心感も変わらない。そして緩和医療医が関与するため、患者の苦痛もしっかり取り除くことができる。主治医は原因治療を担当し、緩和医療医は対症療法を担当する。そう、でき得る限りの「原因治療と対症療法の融合」が可能なのだ。そして二人の主治医が患者を「最後まで診続ける」ことができる“(拙著『死学』p204より。2006年)

私が10年以上前に発表した最初の本の一節です。

今でもまだ、治療と並行した緩和ケアが十分為されているとは言えません。

10年以上前は尚更そうでした。

がん医療をより良くすることの解の1つが、治療担当医と緩和ケア担当医が一人の患者さんのために手を携えて治療に当たることと考えました。

以後多くの時間、それを仕事として参りました。

ようやく、それが当たり前になりつつあります。国の施策としても、明示されるようになりました。

末期ならずとも緩和ケアを受けられることが当然となることを願い、活動しています。

 

患者さんの言葉 ”私の世代は無理でも子供の世代には” から 「今」助けなくてはおかしいと

KさんのがんはstageⅣで治療中、様々な情報をご自身で調べておられました。

まだ若く、2人のお子さんを育てていらっしゃいました。

抗がん剤後の副作用に悩んだり、死に対する恐怖感があったKさんは、治療と並行して、早期から緩和ケアを受けたかったのです。

しかし、現実は・・・。頂いたメールにはこうありました。

(以下引用)

大津先生からすると耳の痛い話題かもしれませんね。 

自身も緩和ケアにかかれないかと、現在通院中の病院(がん拠点病院に指定されています)でも何度か話はしてみましたが…やはり終末期がメインで行われているみたいです。 

住んでいるA市には、もう一つ緩和ケアを行っている病院がありますが、問い合わせをしたところハッキリと終末期のみとは言いませんが断られました。 

自宅の近くには、他にも緩和ケアを行っている病院はあるのですが(他の地域より多いと思います)2件断られた時点で諦めモードです。

現在の抗がん剤も来年には使えなくなりそうです。

そうなると終末期での緩和ケアを視野に入れて考えなくてはならないのではと思っています。 

現状では治療初期からの緩和ケアは病院によってはハードルが高いのかもしれません。 

自分の世代では初期からの(抗がん剤治療中でも)緩和ケアは難しそうですが、大津先生のような方が、情報を発信していただき緩和ケアに関する意識を変えて頂けたらと思います。

そして自分の子供の世代には、がん=抗がん剤=緩和ケアで、がんは怖くない病気になっていることを願います。

(以上引用)

Kさんは、ご自身の病気がどのような性質のもので、何が予測されるのか、それをよくご存知でした。

私がとりわけ心を打たれたのは、この言葉でした。

“自分の世代では初期からの(抗がん剤治療中でも)緩和ケアは難しそうですが、

自分の子供の世代には、がん=抗がん剤=緩和ケアで、がんは怖くない病気になっていることを願います“

Kさんは、自分は無理でも、お子さんたちの世代の時には、この問題が解決しているように、そう綴られていたのです。

どのような思いでこの言葉を記されたのか、それを思うと沈黙しかありませんでした。

一方で、「この今」Kさんのような方が緩和ケアを受けられなくてどうする! そうも思いました。

私はKさんにいくつかKさんの求める緩和ケアを提供してくれるだろう施設及び部門を紹介し、そこの一つに通うことができるようになりました。かかれるようになって良かったと感想を頂き、私は安堵しました。

Kさんとのメール(一連のやり取りはこちらのリンクにも記しています)

早期からの、診断された時からの、治療中からの、緩和ケアを提供すること、あるいはそれを提供してくれる医療者を紹介すること、それを「今」から当たり前のものとし、もちろん未来はよりそれを確固たるものにする―

それはKさんや多くの患者さん、そして未来の患者さんへの私の約束です。

2018年5月、早期からの緩和ケア等の正しい情報を皆さんにお伝えするために、当ホームページ「早期緩和ケア相談所/早期緩和ケアセンター」を開設しました。

皆さまのご支援のほど、何卒よろしくお願い申し上げます。

早期からの緩和ケア外来相談 緩和ケア医(緩和医療専門医)大津秀一

 

緩和クリエーターとして

緩和ケアに関する様々な価値や情報提供を創出する、
緩和ケアに関するプロダクトを創造する(著作や監修・原作等)、
緩和ケアを通して様々な方の人生に穏やかな日々を創り上げる。

「緩和を創る、緩和で創る」、緩和クリエーターとして活動しています。

具体的な使命としては

●緩和ケアドクター(緩和プロバイダー)
がん等で苦しむ患者さんに症状緩和・不安軽減を専門医として提供する

●緩和ケアコーディネーター
症状緩和の医療者・医療機関を紹介・仲介する

●緩和ケアスプレッダー
作家(及び監修・原作者)・講演活動を通して症状緩和普及のために活動

があります。

引き続き皆様のご支援を賜われれば幸いです。