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末期癌のせん妄は9割

末期癌のせん妄の頻度は9割に及ぶということを書きました。

末期ガン最後の症状は痛みではないため鎮静が必要

低活動性せん妄という興奮や混乱があまり前景に立たないせん妄だと、看ている側の家族としては相対的にはストレスは軽いかもしれません。

けれども過活動性せん妄だと、興奮や混乱が強く、異常な言動も目立ちますので、看ている側としては大きなストレスとなります。

余命が日にちの単位でそのようになっている場合は、全身の状態悪化が脳に影響をしていてせん妄となっています。

それなので、完全に意識を元通りにするのは困難なことが大半です。

したがって、(気持ちはとてもよくわかりますが)「元に戻る」ことを願い、意識を下げない系統の苦痛緩和を目指すと、効果が不十分となることも多いです。

医師と十分相談し、興奮や混乱が強ければ、(死なせるという意味ではなく)うとうとと眠れるような薬剤をしっかり用いたほうが良いでしょう。

ただしこのような時に、ベンゾジアセピン系薬を用いると、余計に混乱や興奮が強くなるケースもあり、医療用麻薬も同様で(少なすぎて痛くても、多すぎても、せん妄増悪させうる)、抗精神病薬を重ねて加療したりなどかなりの繊細な治療を要求されます

いずれにせよ、このような状態になると、元に戻ることは困難です。

大切なこととして、終末期になる前の意識清明な時に、十分意思疎通を図っておくということが挙げられるでしょう。

 

せん妄の家族にできることは何か?

身の置き所がない様態の患者さんを見ているご家族は、一般につらいです。特に混乱や興奮が強い場合はそうで、しばしばインターネットで体験談を拝読すると、そのつらさが伝わって来ます。ただひとつ重要なこととして、末期癌で上のような症状が出た際は、残り時間はもう極めて限られている、ということです。

つまり、大切な人との別れが差し迫っています。

確かに、苦しむ家族を前に、何もできない、いても意味がない、いてもつらいだけ、そのような気持ちはよくわかります。

けれども、医療者の私たちは感じています。そしてこう話し合います。

「ご家族がいるときは少し楽そうですね」

「ほんとですね」

そう、やはりせん妄によって、時間や場所、人の感覚が障害されてしまっている状況ではあっても、切り離されそうになるつながりを引き留めるよすがとして、ご家族がいらっしゃるということはとても重要だと思うのです。

ただ混乱や興奮が強い場合は、暴言等で傷つくこともしばしばあります。

それなので、過剰なそれに関しては、しっかりと薬剤等を用いて緩和してもらうように要請することが大切でしょう。

 

家族にできる1つのこと それはいてあげること

いてあげることしかできない。よく聞く言葉です。

しかし、そんなことはないのです。いてあげることだって大変なこと。勇気が必要です。そして、いてあげることは、十分以上にできることです。

実際に、ご家族が付き添われている時は、患者さんが少しだけ楽になっているようにみえることはしばしばあります。気がつかないだけで、実は最後の瞬間まで、ご家族が緩和を与えていると思います。

最後を見守る、というのはとても大変なことです。一人では倒れてしまいます。総力戦です。それなので、私からのちょっとした提案です。

● 家族がうまく交代してことに当たる

● いつでも気になってしまうでしょうけれども、しっかり休息する時間を取る

● 最後の瞬間はけして心停止・呼吸停止だけではない。その前までに十分そばにいれば、その一点の時間に合わなくても十分「死に目に会えた」といえる

● 医療者はともに支える仲間。わからないことは聞き、頼ることは頼って

● 興奮・混乱下の異常な言動や暴言は真意ではないので真に受けない

● 余命日単位のせん妄は、言葉を訂正することも無意味。同意してあげることが大切です

● そばにいる安心を与えることを第一とする。声かけは穏やかに、しかし遠慮せずに

などが大切なことでしょう。ぜひそれらを心がけ、ことにあたって頂ければと思います。

緩和ケアの世界では昔から「Not doing, but being」という言葉あります。「何かをすることよりもそばにいることが大切」というケアの真髄を示す言葉です。

「何かをしてあげたい」という気持ちは大変貴重なものです。一方で、何かをするよりも、ただそこにあること、いることがもっともっと支えになることがあります

看取りでは、「何もできなかった」と思うことは、一生懸命思っていればいるほど、ご家族の方にも医療者にも普通にあることです。しかしけしてそんなことはなく、人は最後の数日で、たとえ話せなくても、なお与え、なおもらっている―そう思います。

 

まとめ

最期の様子、どうだったでしょうか。私たちはいつか誰もがこの時間を迎えます。そして最期の時間はこのように、言葉で気持ちを交わすことは難しくなります。だからこそ、前もって大切な方たちと十分に有事の際のことを相談することが必要になるのです。

そして、本当の終末期においては、「すること」よりも「いること」に焦点を当ててケアにあたって頂ければ、悔いも少なくなるのではないかと考えます。

がんになっても、なっていなくても1分でも長生きする方法を本にしました。

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About 大津 秀一

緩和医療専門医/緩和クリエーター。数千人の患者さんの緩和ケア、終末期医療に携わり、症状緩和のエキスパートとして活動している。著書や講演活動で、一般に向けて緩和ケアや終末期ケアについてわかりやすくお伝えすることをライフワークとしている。