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気持ちの問題を甘く見てはいけません

以前、がんの再発や死亡リスクを変えるのは精神状態

でも紹介したことがあります。

1999年の、乳がんの患者さんの研究において、

◎不安・抑うつテストの抑うつ領域の値が高い患者の全死亡率が高い

◎がんに対する心理的適応を評価するための尺度であるMAC<Mental Adjustment to Cancer>で無力感/絶望のカテゴリー(正確には、Helpless/Hopelessカテゴリー)の点数が高いほど、再発や死のリスクが高い

としたM.ワトソンの論文(Lancetに掲載)があります。

 

問題は、「私は我慢していない」と言ったり思ったりしている方の中にも、結構我慢している方がいることです。

気が付かれていないので厄介です。

 

身体の苦痛症状を我慢するのは最悪

身体の症状があるのに放置するのは最もよくありません。

すぐに担当医と相談し、対処を望むべきでしょう。

それでも対処が及ばなければ、当然緩和ケアを紹介してもらう、あるいは自発的にかかるべきです。

なおこのような場合に緩和ケアにかかるのは、既に「早期緩和ケア」ではありません。

痛みなどの苦痛症状の問題は、不安やうつ、怒りやいらつきなどの精神症状を増悪し、それがゆえに社会的な関係を損ね、症状が強ければスピリチュアルペイン(存在の意味の揺らぎ)にも影響します。

身体だけではなくいろいろなところをだめにするので、身体の問題は即対応すべきです。

なおやたらめったら薬を使うということではなく、もちろん原因の特定が重要で、そこに緩和ケアのアセスメント力が活かされます。

 

不安を言わないのも我慢に入る

問題を一人で抱え込むのも、我慢に属します。

まず、話せば解決する問題なのかもしれませんが、言わなければ自分の中で悩みのスパイラルに入るだけです。

また言ってもわからないからと仰る方もいますが、言わなければもっとわかりません

それに、一人で抱え込むと、自然に「誰も助けてくれない」という絶望感にさいなまれ、被害的になることもあります。

もちろん言っても一朝一夕に解決されないことも多いですが、自分で対処しようとすると、孤独感や絶望感が強くなっていくことはしばしば拝見されるものです。

SOSを出せるほうが、結果的には良い方向性を得られている場合が多くあります。

ご家族も聞いてくれるとは思いますが、差はありますし、ご家族のそのような事柄への耐性によっては、ご家族がつぶれてしまうこともあるでしょう。

医療者に積極的に話題に出して共有し、助言を求めるのが良いと思います。

もちろん早期からの緩和ケア外来も、最も活用できる相談先の一つと言えましょう。

 

 

迷惑をかけてと嘆き悲しむのも我慢の一環と言える

私は何千人も拝見してきていますから、人の世話にならない人は一人もいないことをよく見聞しています。

誰かの世話になっても、その方もいつか誰かの世話になります

自分だけの視点で、「迷惑をかけて・・・」と嘆かれる気持ちはもちろんよく理解できます。

「人に迷惑をかけたくない」多くの方がそうおっしゃいますし、自分も病気の時はそう思いました。

そして病んだり弱ったりしていると、一方的に誰かの世話になって心苦しいと感じ続けたり、迷惑をかけていると思い込んでしまっていることもあります。

けれども、まず第一にお世話をする側は、それを意に介していないことも多いです。

そしてまた、なんぴともそのように世話になることを回避することはできません

真に世の中はそうなっています。

そこは割り切るしかありません。

迷惑だ、足手まといだ、と考えることは、自分を心理的に傷めることにつながります。

容易なことではないかもしれませんが、開き直るようにしましょう。

誰もいつかは誰かの世話になるのです。

 

思考の癖はなかなか自分では気が付かない

多くを拝見していると、一般的なところからのずれを検出しやすくなります。

医師が診療経験が多いことの利点もその点です。

診ていると、意識していないにも拘わらず、非常に我慢している方も多いですし、本来悩む必要のない自責感や足手まといになっている気持ちにさいなまれているケースもあります。

そのような思考の癖は、あまり自分では気が付いていないことがあります。

また変化も重要で、もともとそのようでなかったのが、強い自責感や抑うつ気分、頑固な不眠などが顕在化しているようなケースでは、うつ病に進展している可能性があります。

病気が思考を歪めてしまっている場合もあるのですね。

そのような癖や変化は自分でも気が付かないこともあります。

それがゆえに、継続的に話を聴いてくれて、適切な対処を提供してくれる医療者を設けることが重要になるのです。

 

まとめ

病との付き合いは、いかに楽をするかです。

そしてプロジェクトをいかに、協働プロジェクトにするか、です。

外注したほうが良いものを作れることが多いのです。

我慢は百害あって一利なし。

ぜひ知って頂きたいことだと思います。

かといって、身近な人に感情をぶちまければ関係が壊れてしまうので、ポイントは医療者にそのような傾聴や対応を求めることで、早期緩和ケア外来等はそのような目的のためにも存在するのです。

 

 

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About 大津 秀一

緩和医療専門医/緩和クリエーター。数千人の患者さんの緩和ケア、終末期医療に携わり、症状緩和のエキスパートとして活動している。著書や講演活動で、一般に向けて緩和ケアや終末期ケアについてわかりやすくお伝えすることをライフワークとしている。