胃がんの緩和ケア
によると、胃がんは罹患数が2位です。非常によくある腫瘍です。
胃がんの死亡数は全体第3位で、男性では2位、女性では4位になっています。
胃がんは進行のスピードに濃淡があります。未分化癌は厳しい経過の場合もあります。
早期だと治りやすいがんでもあり、ひと口に胃がんと言っても相当な違いがあります。
胃がんは管の臓器ですので、病気が次第に進行すると狭くなり、通過障害を起こす可能性があります。
他にも、苦痛症状には様々な特徴があります。それを解説します。
胃がんの体の苦痛症状と緩和ケア
胃がんと痛み
胃がんは一般に、みぞおちの痛みとして自覚されます。
専門用語では心窩部痛(しんかぶつう)と言います。
”胃の痛み”自体は割と自覚されたことがある方は多いかもしれません。
それなので、がんの患者さんでも肝被膜痛(かんひまくつう)で、「胃が痛い」と仰る患者さんもいます。
肝臓の左葉は胃に近く、また同じ鈍痛となるので、胃の痛みのように感じるのですね。
胃の痛みの形式としては、内臓痛というものに分類されます。
痛みというよりも、不快感や重い感じ、気持ち悪さを伴う、などで自覚されることもあり、「痛み」との理解が遅れる場合もあります。
患者さんはしばしば「痛みではない」と否定され、治療が遅れることもあるのは膵臓がんの内臓痛と似ています。
一方で、内臓痛は医療用麻薬がとても良く効きます。
抗がん剤治療などを開始しても、抗がん剤が効いて腫瘍が制御されて痛みが緩和されるまではタイムラグがあります。
それなのでその間、いたずらに苦痛に耐える必要は全くありません。
痛みは情動などにも悪影響を与えますので、胃がんの内臓痛も適切に医療用麻薬治療で緩和すべきです。
高度進行期や末期の胃がんの痛みは、時に治療に難渋し、医療用麻薬治療があまり効いた感じがしない場合もあります。
その理由は神経障害性疼痛を併発しているから、というケースも考えられます。
胃がんも周囲のリンパ節に転移し、腹腔神経叢(ふくくうしんけいそう、と読む。神経叢とは神経が集まって網目状になっている部分)などにも進展することがあります。
神経叢への浸潤は、神経障害性疼痛を引き起こします。
神経障害性疼痛は医療用麻薬だけでは緩和が難しいことがある痛みです。
難治性の神経障害性疼痛の場合は、医療用麻薬の他に、鎮痛補助薬という痛み以外の主適応症を有しているが痛みへの効果もある薬剤群を併用したり(例えば商品名リリカや商品名サインバルタなどが有名です)、神経ブロックを専門家にお願いしたりします。
腹部CTなどの画像から、神経障害性疼痛を起こす病変があることを確認すれば、痛みの原因が特定できます。
これらは膵臓がんと似ています。
胃がんと痛み以外
胃がんも腹膜に播種を起こすことがあり、がん性腹膜炎となります。
がん性腹膜炎からも痛みを発症します。また、がん性腹膜炎は腹水の原因となります。
難治性がん性腹水の治療は今も難しいです。
基本的には腹水穿刺が治療法となります。文献的裏付けは乏しいですが、ステロイドで症状緩和されることがあります(がん性腹膜炎の炎症緩和を介していると推測されます)。
胃がんは管の臓器ですので、病気が次第に進行すると狭くなり、通過障害を起こす可能性があります。
難治性の吐き気が続く際は、このような病態も視野に入れねばなりません。
ステント治療が症状緩和に有効なことがあります。
一般に、胃の先のほう(肛門側)の狭窄(狭くなる)である幽門狭窄よりも、胃の前のほう(口側。食道側)の噴門狭窄のほうが、症状緩和に関しては厳しいことが多いです。
胃管を留置して前者は症状緩和の可能性もありますが、後者は食道を通過した水分や食物がすぐに戻ってきてしまうことに関係しています。
胃や十二指腸の狭窄は、腸閉塞(大腸や小腸の閉塞)と比べて、ステロイドやオクトレオチドの効果が弱く、開通を保持できにくいことも難しさと関連しています。
このような専門知識を背景として、できることを探っていきます。
胃がんと心理的な問題、治療に関する問題
胃がんは非常にバラエティに富んだ腫瘍です
早期がんでは普通に治る病気です。
一方で、胃の壁の中をしみこむように浸潤するスキルス胃がん(胃がんの10%前後)は今も手強い腫瘍です。女性や若年者の胃がんにも認められます。
進行が早い腫瘍は、腹膜播種からの痛みや腹水、狭窄症状による吐き気や食事摂取困難などが出現し、心理的にも相当なストレスとなりえます。
胃がんも多剤併用の化学療法が施行されています。
種々の副作用が出る可能性ももちろんありますので、抗がん剤治療にあたっては、経験豊富ながん治療医の関与が不可欠です。
治療にまつわる不安やストレスも、支援すべき問題です。
まとめ
胃がんも他のがん種と同様に、様々な苦痛症状を起こします。
痛みはもちろんですが、それ以外の症状にもしっかりとした対処が必要です。
2017年から免疫チェックポイント阻害薬のオプジーボも使用可能となりました。
生存が、新たな治療薬が使用できる可能性を増やすという考え方もあるでしょう。
希望を捨てないで、できる治療を行うことが大切であり、そのためにも緩和ケアを早期から併用し心身の良いコンディションを保つことが大切と言えます。