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緩和ケア医は基本的な気持ちの問題の対応には習熟している

 

軽くない病気があれば、気持ちも揺らぐのは当たり前のことです。

むしろそうならないほうがおかしいと言えましょう。

がんの患者さんを数多く診る立場の緩和ケア医は、基本的にはがんの患者さんの心理的諸問題に関しても、適切な対応を知っています。

むしろ精神科医や心療内科医も、がんの患者さんをあまり診ない(精神科内の)専門分野であるケースもありますから、必ずしも精通しているとは限りません。

精神腫瘍学という、がんの患者さんの精神的諸問題の専門家もいますが、数が多くないこともあり、アクセス性が高いとは言い難いです。

一方で、精神科などが専門ではない医師が、心理の問題を扱うのは、時に苦手意識もあるようです。

がんの患者さんが気持ちの問題を抱えた場合に、緩和ケア医にまず連絡が来る、というのは緩和ケア部門が機能している病院では比較的多いことであり、私も実際にそうでした。

 

重要なのはまず聴いてもらうこと

患者さんが緩和ケアにかかる時は、つらさを改善してほしいと願っておられることも多いでしょう。

身体のつらさに関しては、症状にもよりますが、比較的薬も効きますので、長期間良くなるまでにかかるということは必ずしも多くありません。

一方で、昨日のブログで触れましたように、がんの場合もそれぞれの進み具合によって、どの時期でも様々な悩みが出る可能性がありますので、一回の面談ですっきり改善という劇的な変化が起こることはあまりありません。

つらい状況にあると、一発で救ってもらいたいと願うのは当たり前の気持ちです。

しかし気持ちの問題は、自身のこれまでの考え方の特性や、人生など様々な複合的な要素の上で成り立っているものです。

痛みの伝達経路を遮断する鎮痛薬を使えば改善する、というようなものとはまた違った趣があります。

「一発改善」を期待すると、なかなか思うようにいかないものですから、助言としては、まずは緩和ケアの外来では自分の気持ちをとことん聴いてもらうことをまず行えば良い、ということになります。

 

答えは自分の中にある たどり着くのは話すことや書くことがきっかけ

多くの場合、答えは自分の中にあるのです。

その答えの中にたどり着くのには、忌憚なく話したり、書いたりすることが有効です。

自由に表現する中に、断片のものが集まり、固有の意味を示したりすること、これはよく認められるものです。

多くの闘病ブログがあるのも、それが理にかなっている、正しいやり方だからです。

腎細胞がんでは、気持ちを表現して書くアプローチが良い影響を示したと指摘されていますが、これは書くことに限られたものではないでしょう。

自身の気持ちを、制約なく、話したり書いたりすることで、自身の気持ちがまとまり、現在の気持ちのつらさを乗り越えることにつながっていきます。

「心を強くする」とか「前向きに前向きに」とか強く意識するとか、そのような徹頭徹尾自分で頑張らなくてはいけない! と自分にプレッシャーをかけるのとは違ったところに解決策があります。

頼るべきところは頼ることが大切です。

その中には、聴いてもらえる人には、リミットをかけずに話す、ということになります。

ただしかし、その話を聴くのにも、それなりの力が要りますし、基本的には医療者でそれを仕事としている者というのが人間関係等への影響もなく安心でしょう。

以上のように、緩和ケアの医療者とコンタクトを取り、気持ちを聞いてもらうことは、自身の中にある答えに気が付きやすくなります。

そのような方法等で、薬治療だけではなく緩和ケアでは気持ちや心の問題にも対処してもらうことができます。

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About 大津 秀一

緩和医療専門医/緩和クリエーター。数千人の患者さんの緩和ケア、終末期医療に携わり、症状緩和のエキスパートとして活動している。著書や講演活動で、一般に向けて緩和ケアや終末期ケアについてわかりやすくお伝えすることをライフワークとしている。