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パラガングリオーマ・褐色細胞腫とはどんな腫瘍?

リクエストがありましたので、掲載します。

パラガングリオーマ(頭蓋骨底から骨盤まで存在する神経内分泌組織から発生する腫瘍)と褐色細胞腫(副腎髄質のパラガングリオーマ)は稀な病気です。

このうち褐色細胞腫は10%程度、パラガングリオーマは20~25%程度が悪性化するとされています。

この2種の疾患は、類縁疾患であり、緩和ケアに関しても対処は同様になります。

パラガングリオーマ・褐色細胞腫の緩和ケアについて説明します。

 

カテコールアミン過剰症状

パラガングリオーマや褐色細胞腫は、高血圧や頭痛、動悸、発汗過多などのカテコールアミン過剰症状を来します。

高血圧や頭痛は、実に90%近い褐色細胞腫の患者さんに認めるとされています。

一方で、パラガングリオーマにおいては31%程度であったと報告にあります。

症状があれば、αブロッカーやβブロッカーなどの降圧薬でのマネジメントが行われます。

 

転移場所に応じて多様な症状を来たす 身体的苦痛は?

パラガングリオーマに関しては、頭蓋底や頸部発症のそれは頚部リンパ節に転移し、頸部より下のそれは骨や肝臓、肺に転移するとされています。

骨への転移に関しては、疼痛を発生する場合があるので、アセトアミノフェンやNSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)、医療用麻薬などを用います。

肝臓も表面の被膜にまで腫瘍が進展すると肝被膜痛を起こすので、医療用麻薬などの使用適応です。

頚部リンパ節転移も疼痛の原因となりえます。対処法は上記の疼痛と同様です。

肺転移は呼吸困難を生じることがあり、これも医療用麻薬使用が適応となりえます。

いずれも医療用麻薬使用は、予後を縮める証拠がありませんので、症状が強ければ忌避せず用いることが重要となるでしょう。

頭頸部のパラガングリオーマは発生部位によって嗄声(声がすれ)、嚥下障害、発声障害や、耳鳴り、難聴等を起こすことがあります。

これらに関しては、一般的緩和策が奏効しないので、後述する腫瘍自体の治療が必要となります。

 

悪性パラガングリオーマ・褐色細胞腫の治療が緩和ケア

これらの病気は、腫瘍に対する治療も重要な緩和ケアとなります。

参考;Pheochromocytoma and Paraganglioma Treatment (PDQ®)(英文)

日本では、手術、MIBG、化学療法、骨転移に対する外照射などが適宜組み合わせて実施されています

肝転移に関しては、肝動脈化学塞栓療法が本邦から多く報告されています。

海外では他に、ラジオ波焼灼療法等が用いられています。

また放射線核種標識ペプチド療法も行われていますが、日本では保険適応はありません。

分子標的薬(例えばスニチニブ等)に関しても、海外では研究されています。

 

悪性パラガングリオーマ・褐色細胞腫の身体的苦痛以外の問題

まず希少がんである、ということ自体は、情報収集を図る上で難点になります。

一方で、希少がんである患者さんやご家族は、一般に、熱心に情報収集をする傾向があるのも事実であり、一概にそれが悪いとは言えません

ただ保険適応の治療が限られていることなどは、経済的・心理的な苦痛となりうることでしょう。

腫瘍自体は、悪性度が非常に高いがんとは異なり、長期の生存例もあることが知られています。

(他、参考;Malignant pheochromocytoma: predictive factors of malignancy and clinical course in 16 patients at a single tertiary medical center.

どちらかと言えば、長期伴走型の腫瘍との付き合いが必要となるがん種であり、それに応じた心構えが重要となるでしょう。

患者さんが多いがんは、患者会などの整備も着々と進んでおり、同種のがんのノウハウがそこで得られやすいのが1つのメリットですが、それが難しいのが希少がんのケースでもあります。

病との付き合いを支援することも大切な緩和ケアの一環であり、話をし、相談し、助言を受ける場としての緩和ケア受診は意味もあると考えます。

早期からの緩和ケア外来相談 緩和ケア医(緩和医療専門医)大津秀一

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About 大津 秀一

緩和医療専門医/緩和クリエーター。数千人の患者さんの緩和ケア、終末期医療に携わり、症状緩和のエキスパートとして活動している。著書や講演活動で、一般に向けて緩和ケアや終末期ケアについてわかりやすくお伝えすることをライフワークとしている。