家族ばかりのメリットでは物足りない、という皆さんに
2回にわたって、患者さんの早期緩和ケア外来受診でご家族の満足度アップ、精神的苦痛・うつが改善という研究を紹介しました。
早期からの緩和ケア定期受診研究2 家族の精神的苦痛が減りうつも改善
いや、そんなことより「この私」へのメリットを知りたい、という皆さんもおられるでしょう。
大事です。
もちろん、ご本人へのメリットも期待できます。
非小細胞肺がんにおいての、生存期間の延長はあまりにも有名です。
Early Palliative Care for Patients with Metastatic Non–Small-Cell Lung Cancer(英語)
しかし、それだけではなく、様々な研究が為されています。
今回の研究はカナダのものです。
がんは幅広く対象
肺がん、消化管がん、泌尿器系がん、乳がん、婦人科がんが対象になっています。
受診はクリニックです。
最低月1回の来訪となっています。
対象は進行がんで、比較的元気な患者さんで、推測される生命予後は半年以上(~2年)と考えられる方です。
早期緩和ケア群と、通常腫瘍ケア群でランダム化比較試験なのですが、個人ごとのランダム化ではなく、施設単位でのランダム化です。
観察項目は、FACIT-Spというスピリチュアリティまで含めた生活の質を評価する尺度が主になっています。
参考;Functional Assessment of Chronic Illness Therapy(日本語。PDFがダウンロードされます)
副次的に、終末期の生活の質を評価するQUAL-E、症状を評価するESASや、ケアの満足(FAMCARE-P16)、患者と医療者間の相互関係の問題(CARES-MIS)が測定されています。
結果はどうだったでしょうか?
生活の質や症状、満足度等の諸パラメータが改善
3ヵ月後の段階では、統計的に意味のある差で改善したのは、終末期の生活の質及びケアの満足度でした。
4ヵ月後の段階では、スピリチュアリティまで含めた生活の質、終末期の生活の質、症状、ケアの満足度が統計的に意味のある差で改善しました。患者と医療者間の相互関係の問題は有意差はありませんでした。
ど本命の3ヵ月後のFACIT-Spでは統計的に意味のある差が得られなかったものの、全般的には早期緩和ケアの良い結果が得られたと評価されています。
まとめ
確かに、早期緩和ケアでは生存期間の延長まで示唆されるなど、これまでの認識を超える知見が得られています。
ただ一方で、もともと緩和ケアは生活の質を向上するアプローチであり、それは病気が治る治らない、延命するしないを問わずに大切にされてきたものです。
本研究は、その生活の質はどうかというオーソドックスな評価内容です。
早くからの緩和ケア受診で、生活の質は当然のごとく向上し、また症状も改善していました。
このように早期緩和ケア定期受診は、前回紹介したようなご家族へのメリットばかりではなく、本人にも良い点が期待されるのです。
動画です。
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