がん治療は攻撃の治療
がん治療は、がん細胞を除去あるいは減らす、攻撃の治療です。
問題は、人は正常の細胞も持っているということです。
がんの三大治療と呼ばれる、手術・抗がん剤治療・放射線治療はいずれも、腫瘍細胞を除去あるいは縮減させますが、正常組織・細胞も損傷あるいは障害します。
がん細胞がかけている免疫のブレーキを外す免疫チェックポイント阻害剤も、正常細胞を傷つけることがあります。
攻撃は常に正常細胞への攻撃性をはらんでおり、全くの無傷で治療を終えられる方はいません。
効果は、副作用が0ではない対価
現状では、副作用が0の治療はありません。
では副作用がないか、あるいは軽いと謳う代替治療はどうか。
はっきり言って、代替療法だけは危険です。
参考;代替治療に走る前に…「目的」と「手段」の話 – ヨミドクター – 読売新聞
代替療法は効果の点で劣り、残念ながら、現状では攻撃に伴う効果の副産物を避けることはできないのです。
守りの医療緩和ケア
そこで大切になるのが守りの医療たる支持療法・緩和ケア・緩和医療です。
下の図のように攻撃の治療と並行して行うことが重要です。
攻撃の副産物は身体に及びます。
例えば吐き気などは有名ですね。
倦怠感(だるさ)等、時間の経過とともに改善するものもあれば、積極的に対応したほうが良いものもあります。
どのように対応したら良いのか、治療開始期の患者さんの多くは、情報が不足しています。
手取り足取り教えてくれることは、医療システム上困難です。
がん情報サービスなどで情報の下調べを行い、医師に尋ねたいことを尋ね、また外来の化学療法室等の薬剤師や看護師等に相談に乗ってもらうことも方法としてはあるでしょう。
ただそれでも必要な情報が不足することは日常茶飯事です。
そこで、さらなる守りのために必要な情報を得る場所として挙げられるのが、患者会と緩和ケア外来です。早期緩和ケアの代表的な場所として挙げられます。
患者会と緩和ケア外来で鉄壁の守りを形成する
一般的に患者会は、守りの情報を得るのに重要な場です。
心身の問題に対処する情報でまだ不足している部分を補うことができるでしょう。
また安価で参加できることも利点です。
緩和ケア外来を利用する方法もありますが、このような早期からの利用ができる病院は限られます。
もちろん当院の外来はそのような使い方を目的の一つとしているので、利用できます。
患者会にも緩和ケア外来にもそれぞれの利点と限界があります。
例えば、患者会は様々な病気のそれぞれ違う進み具合の方が参加されますし、グループが形成されることもあるので、人間関係が大変になることもある等が挙げられます。
常連さんたちに新顔の方が溶け込めないこともあります。それぞれに存在するルールも守る必要があります。
またオープンな相談・議論が中心になるので、向き不向きや、皆の前で話すスキルが必要となるでしょう。
緩和ケア外来は、一般の外来は早期からの受診が必ずしも受けてもらえるとは限らず、私の外来では相対的な費用が問題となるでしょう。
一方で、他の人のことや時間(※施設差あり)を気にせず相談できるという利点があります。
以上のように一長一短あります。
病と付き合うのは様々なスタンスがあり、私はどのような姿勢も許容されると考えます。
ここらへんはそれぞれに合ったスタンスが必ずあると思います。
オープンな場が得意で、参加者とのステージ等の状況が合っている、あるいはあまりその差異に関して気にすることがなければ、患者会は非常に有益でしょう。
それに合致しない場合は、クローズな対医療者との一対一の場のほうが適しているかもしれません。
もちろん双方を使い分けたり、併用したりすることもできるでしょう。
強い効果と副作用を持つ薬剤等によるがん治療、すなわち攻撃の力と比べて、守りの力はしばしば不足しがちです。
通院している病院の医療者に十分情報提供を求めるのは基本ですが、それでも守備力が不足する場合もあり、患者会や緩和ケア外来を併用しながら、鉄壁の防御を敷くのが良いと考えます。
それらで得られる正しい情報は転ばぬ先の杖であり、堅固な盾となり心身を守ってくれるでしょう。
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