Pocket
LINEで送る

先日から早期緩和ケア大津秀一クリニックが稼動し、外来業務を開始しております。

「早期からの緩和ケア」に取り組んでいる、と仰っている医療機関は多いです。

しかしやはり・・というべきか、有名病院でも早期からの緩和ケアが為されていない事例も経験しております。

 

末期にならないと介入できない、と言われた

緩和ケア部門が病院にないのならば、仕方ありません。

しかし緩和ケア部門が病院にあっても治療中から緩和ケアが受けられないという事例がしばしばあります。

話をうかがっていると、「主治医から”今はその時期ではない”」「末期にならないとかかれないでしょう」等と言われて、紹介してもらえなかった、というケースが散見されます。

もちろん早期緩和ケア大津秀一クリニックが開設されたので、そのような方々も緩和ケアを提供することはできます。

けれども、どうしても末期にならないとかかれない、というのも問題です。

 

まずは明確に強めに要請すること

正直な話、緩和ケアに対する理解は、担当医によって相当な違いがあります。

必ず早期から紹介してくれる担当医もいれば、絶対に何があっても最後まで緩和ケア部門に紹介しない担当医もいます。

ただ後者のような場合が必ずしも多いわけではなく、「緩和ケアの紹介は末期になってからでしょう」と担当医自体が思い込んでいるだけの場合もあります。

一方で通常の緩和ケア部門は、早期からの介入は一般に嫌がらないはずで、単に情報がそこまで届いておらず、緩和ケア部門が把握していないだけ、ということはしばしばあります。

緩和ケア部門で話を聞けば、「診られますよ」となることも多いのです。

したがって、ある程度以上強く、「緩和ケアにかかりたい」と言わねば、なかなか紹介してもらえないということもあります。

もっとも私の場合は、大病院在職中に、ネットワークを張り巡らし、「紹介が来ない事例」「紹介が来ない医師」の患者さんにも緩和ケアが提供できるような工夫をしていました。

ただ依頼が来ないと動けないのが、一般的な緩和ケア部門です。

患者さんやご家族には大変だと思いますが、ここはどうかアクションして頂きたいと思います。

実際に、以前(病院勤務時代に)私の外来にたどり着いた患者さんは「鉄の意志でここまでたどり着きました」と仰った女性の方もいらっしゃいました。

もちろんそれほど力を使わなくても紹介が来るように緩和ケア部門も努力していますが、担当医師によってはそのようなこともあるのです。

 

どう自身に緩和ケアを提供するべきなのかの相談にも乗ります

現場ではまだまだ人と人との関係においても、医療は影響を受けます。

何も言わなくても察してくれてどんどん対処してくれる医師もいれば、そうではない医師もいます。

担当医ごとに、患者さんやご家族もコミュニケーションを可変してゆくことが、患者さんご自身にとっても良いのが医療現場です。

私はこれまで何千人もの医師とともに仕事をしてきておりますから、協働についても経験は豊富です。

当所の外来のご利用は、必ず担当医に事前に断らなければならない、というものではないため、悩まれる場合はまずご来訪されるという方法もあると存じます。

とにかく、肝心な時に苦痛を取ってもらえない、あるいは入りたい場所に入れない、などがないように、事前から様々な手段を講じておく必要がありますので、そのようなアドバイザー的な意味でのご利用も良いと思います。

とにかく様々なルールがある医療現場でもあり、なかなかわかりづらいところもありますから、迷われたらまずは気軽にご相談頂くのが良いでしょう。

 

 

Pocket
LINEで送る

Share this Post
アバター

About 大津 秀一

緩和医療専門医/緩和クリエーター。数千人の患者さんの緩和ケア、終末期医療に携わり、症状緩和のエキスパートとして活動している。著書や講演活動で、一般に向けて緩和ケアや終末期ケアについてわかりやすくお伝えすることをライフワークとしている。