罹患の数が婦人科がんの中では少ない卵巣がん
卵巣がんは、女性がなるがんの中では、1位・2位といった位置を占めてはいません。
女性のがんの中では、乳がんは頻度が圧倒的に多く(1位)、次が子宮がん(5位)です。
しかし卵巣がんは、なかなか手ごわい側面があります。
それなので、患者数あたりの死亡率は婦人科癌のなかでもっとも高いとされています。
何が問題となるのでしょうか。
早期発見を妨げる特性
卵巣がんは早期の発見が難しいという特徴があります。
それなので病期が進んでから診断されます。
それが予後と関係しえます。
卵巣は腹腔内に露出しており、容易に腹腔内に進展します。
しかしなかなか症状が出ません。
そのため、治療の開始が遅くなりがちです。
他に、デノボがんといった、急速に発生するがんがあることも知られています。
このような容易ではない特徴があるのです。
治療選択肢も乳がんや肺がんほどはない
「これが効かないと、もうあまり効く治療がないですね」
と早めから言われる傾向があることも、患者さんの声からわかります。
卵巣がんは一般に、化学療法のプラチナ系製剤、タキサン系製剤への感受性が強いことが知られています。
上の記事にもあるように、すでに使用可能となっているPARP(ポリADP-リボースポリメラーゼ)阻害薬のオラパリブの他、今後出るだろうPARP阻害薬ニラパリブや、免疫チェックポイント阻害薬(上の記事だとニボルマブ、ペムブロリズマブ、アベルマブ、アテゾリズマブが挙げられています)なども新規治療として採用されてくるでしょう。
ベバシズマブがらみの多剤併用療法でも、様々な知見が出てきていますね。
基本的には長期生存が、さらなる新治療が適応される時期となることを呼び込みます。
心身の消耗を減らすべく、また抗がん剤治療等による損耗を防ぐべく、早期緩和ケアは欠かせません。
腹水や腸閉塞が問題になる
卵巣がんでは腹水や腸閉塞が問題となるのは既報通りですので、ぜひ下記をご覧ください。
腹水に関しては、大腸がんの治療に使われるVEGF阻害剤のアフリベルセプトが奏効したという報告はありますね。穿刺の期間が延長しました。
ただ日本では、卵巣がんの腹水マネジメントへの適応はありません。
アフリベルセプトはVEGF阻害剤なので、基本的にはベバシズマブ(商品名アバスチン)と同じカテゴリーの薬剤です。
参考;アバスチン、サイラムザ、そしてザルトラップ。3つの血管新生阻害剤(VEGF阻害剤)の違いを3つのがん種別にまとめてみた
ということは、上記の参考にあるように違いはあれども、アバスチンは奏効する可能性がありますね。
しかし、アフリベルセプトもベバシズマブと同様に、消化管穿孔を起こしえますし、実際上記の卵巣がんの腹水に用いた研究でも、消化管穿孔が3例出ています。
なかなか難しいところですね。
いずれにせよ全期間を通じた症状緩和や不安の解消、正しい選択の支援が必要となるでしょう。
容易ではない病気だからこそ、いざとなってからではなく、早期から緩和ケアをしっかり併用していきたいところです。
動画は進行卵巣がんの諸症状についてです。
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