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緩和ケア外来を設置している病院は増えている

緩和ケア外来を設置している病院は増えています。

緩和医療学会が統計を集めて最新の緩和ケアの状況について毎年レポートで示していますが、

2016年度の調査では、緩和ケア外来を持っている病院は458病院となっています。

2017年度緩和ケアチーム登録(2016年度チーム活動)

2016年8月当時、がん診療連携拠点病院等は427施設、小児がん拠点病院は6施設あったということです。

がんの拠点病院ならば、緩和ケア外来は概ね設置はされているということになるでしょう。

拠点病院ではない病院でも、全国で130病院が緩和ケア外来を持っていることも緩和医療学会の統計ではわかります。

 

患者さんにとってはありがたい診療報酬の安さ

緩和ケア外来で患者さんを診療する際に、月1回かかるのが「外来緩和ケア管理料」です。

最近10点下がり、290点になりました。1点10円なので、2900円になります。

月1回2900円(の自費割合分)かかり、それとは別に病床が200床以上の病院だと外来診療料730円(の自費割合分)<再診の場合>や処方箋料等がかかります。

ただし、外来緩和ケア管理料を病院が徴収するには、厳しめの要件があります。

それがゆえに、先述の緩和医療学会の統計でも、全体の30%の160病院しか取れていません。

さらに、「外来緩和ケア管理料」には「緩和ケアを要する入院中の患者以外の患者(がん性疼痛の症状緩和を目的として麻薬が投与されている患者に限る。)

という文言があり、なんと医療用麻薬を使用している患者さん以外は、外来緩和ケア管理料もかかりません

緩和ケア科は他の科の外来と並行してかかることも多く、主たる診療科にかかるのと同一日だと外来診療料も半額になります。

たまに週刊誌等で見かけるような、「安く医療費をあげる方法」という立場で記すならば、

◯ 医療用麻薬を使用していない場合は、緩和ケア科外来受診が安くなるのでおすすめ!

◯ 主たる診療科と同一日に緩和ケア外来をしてもらおう!

と助言はできそうです。

……しかしお待ちください。

確かに、安いことは、患者さんからすると大きな恩恵です。

患者経験がある私も、その考えはとてもよくわかります。

しかし個人的な意見として、この緩和ケア外来加算の点数や条件の設定は、私は間違っていると思います。

条件等に関して言えば、

◯ なぜ医療用麻薬が出ていないと、緩和ケア外来としての診療報酬が取れないのか?

(→医療用麻薬が出ていない患者さんを診る病院としてのメリットが減ってしまいます。

それに緩和ケアは医療用麻薬とイコールではないのでは?)

◯ なぜ2018年の診療報酬改定で、緩和ケア外来加算は少額とは言え減額になったのか?

(→普及させたいならば、増やすべきだったのではないか)

◯ なぜ緩和ケアチームがないと、緩和ケア外来としての費用が取れないのか?

◯ 「がん患者」に限っている加算を他の疾患にも適用すべきではないのか?

などの疑問点がありますが、点数に関してもそれが存在します。

 

安くて何が悪いのか? 外来普及には裏目に

外来緩和ケア管理料を病院が得るためには、所定の条件の緩和ケアチームが存在しなくてはいけません。

専門家の医師が外来診療をしても、他に看護師や薬剤師が所属するチームがないと、この診療料が取れません。

外来緩和ケア管理料がないと、患者さんを1人診療すると、病院が緩和ケア診療で得られる報酬は360円(730円の半分)<再診の場合>です。処方があると、一番高い場合で680円プラスでかかります

外来の患者さんを緩和ケア診療すれば、普通に30分や1時間かかることも普通にあります。

患者さんやご家族の苦痛や不安を考えれば、それだけ話を伺い、しっかり対処するには一定の時間がかかるのは当然です。

しかし、患者さんに医療用麻薬や処方薬も出ていなければ、病院は360円しか得られません。

これではとても人件費などの工面ができないです。

安いことは患者さんからすればありがたいことですが、あまりにも安い設定だと、その活動をすることのメリットが少なく(むしろデメリットになり)、普及の妨げとなってしまいます。

最近ではがん患者指導管理料(6回まで。1回2000円)という別の費用を徴収することができるようになりましたが、これも様々な制限があります。

 

緩和ケア外来よりも緩和ケアチーム回診が圧倒的に病院の経済的には良い

一方で、緩和ケアチームは、他にも診療の対価の報酬を得る手段があります。

それは、入院患者さんの診療を行ったことにより得られる、緩和ケア診療加算です。

これは1回3900円を病院は得ることができます。

外来を30秒で終わらせることはできないでしょう。

しかし病態が安定している入院患者さんの回診を30秒程度で終わることは、しばしば現場ではあります。

外来が30分かかったとして、外来の再診患者さん(医療用麻薬処方なし。その他処方なし)を診療した場合は、病院に360円。

一方で、同じ30分を入院患者さん1人の回診にあてたとして、それだと病院に3900円です。

実際には、30分で5人以上(患者さんの状態が安定しているならば)回診することもあるでしょうから、それだと計19500円以上となります。

360円 vs 19500円

こう考えると、いかに外来の緩和ケアに対する診療報酬上の設定が安いかがご理解頂けるかと思います。

 

まとめ

このように病院にとって、緩和ケアの外来は経済的なメリットがあまりあるものではないのです。

普及に障害があるのではないかというほど安価で、ある種、サービスに近い側面もあると思います。

受け手としては安いことはとてもありがたいのですが、安すぎても実は問題があります。

医療者にもより経済的効果が高い行動を得るように有形無形の力が加わり、患者さんからするとその医療行為が受けにくくなります。

具体的には、緩和ケア外来よりも、入院患者さんの緩和ケアチーム回診を行ったほうが良いではないか、となってしまうのです。

もしうまく緩和ケア外来にかかれるようになった際は、その貴重な時間を無駄にしないように「聞くべきことをしっかりと聞くこと」だと考えます。

得られた時間を有効に活用することが大切だと言えるでしょう。

早期からの緩和ケア外来相談 緩和ケア医(緩和医療専門医)大津秀一

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早期緩和ケア相談所のFacebookページもフォロー等よろしくお願い申し上げます。

 

 

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About 大津 秀一

緩和医療専門医/緩和クリエーター。数千人の患者さんの緩和ケア、終末期医療に携わり、症状緩和のエキスパートとして活動している。著書や講演活動で、一般に向けて緩和ケアや終末期ケアについてわかりやすくお伝えすることをライフワークとしている。