画像は国立がん研究センターの社会と健康研究センターホームページから引用させて頂きました。
糖尿病があるとがんのリスクが高まる
糖尿病自体が緩和ケアの対象となる記事を書きましたが、
その中でも触れたように、糖尿病はがんのリスクを高めます。
原因は様々なものが推測されています。これも国立がん研究センターの社会と健康研究センターホームページから。
膵臓から分泌されるインスリンの作用が不足すると、それを補うために高インスリン血症やIGF-I(インスリン様成長因子1)の増加が生じ、これが肝臓、膵臓などの部位における腫瘍細胞の増殖を刺激して、がん化に関与すると推察されています。肥満や運動不足によっても、多くの場合結果的に高インスリン血症が引き起こされますので、肥満や運動不足と関連の強いがんでは、類似のメカニズムでがんにかかりやすくなるのかもしれません。
がんの患者さんが糖尿病を患っていることも多いです。
その際に、通常の患者さんにプラスして、ケアする必要があることが増える可能性があります。
それは次のようなものがあります。
早期緩和ケアにおいてのがんの患者さんと糖尿病
早期緩和ケアが、単なる症状緩和だけではなく、問題発生の予防やうつの発生抑止、生存率への好影響まで想定していることは何度か述べている通りです。
参考;診断時からの早期緩和ケア定期受診で1年生存率が向上する【遠隔相談で】
食事をより良いものに変えることは、経過や不安の改善等にも有効です。
がんの不安を減らせる食べ物は【オメガ3系】(n-3系脂肪酸)
現状、がん治療病院にも糖尿病科が配されていることがほとんどでしょう。
糖尿病があるがんの患者さんの多くは、がん治療担当医と、糖尿病治療医の双方にかかっています。
がんの患者さんは、痩せる要素が非常に多いです。
腫瘍自体でも痩せますが、がんだけではなく治療による食欲不振や吐き気等でも食事量は減じて、痩せの原因となります。
また栄養とバランスした適切な運動も行わないと、筋肉量も落ちて、体重減少や衰弱の因子ともなります。
本来はがん治療医と糖尿病科の医師が密に連絡を取り、状態に合わせた治療で対応することが肝要ですが、必ずしもそうなっていない場合もあるようです。
かくして治療医からは食事摂取量の増量を、糖尿病科の医師からは変わらぬ食事制限を指示され、患者さんやご家族が困惑することもあるようです。
体重の推移に注目しながら、食事の処方も微調整が求められます。
早期緩和ケアにおいては、がん治療からの観点と糖尿病管理からの観点を統合して、ベストの助言を行っていきます。
高度進行期のがん緩和ケアにおいての糖尿病管理
がんが非常に進行し、病状として厳しくなると、糖尿病をどの程度まで管理するかという問題が生じます。
確かに、糖尿病のマネジメントが不良だと、感染リスクや心血管・脳血管病変出現リスク等とも関係するでしょう。
しかし、がんが進んで患者さんも余命を意識するようになった際に、1日4回の血糖測定や頻繁なインスリン注射を行うことは、生活の質との並立が問題になります。
有害な事象を起こさない程度に、糖尿病の治療を調整することも重要となります。
病気や専門分野だけに過剰に集中せず、全人的に診療を行うのが緩和ケアの特性です。
それを活かして、生活の質が保持された糖尿病マネジメントを提案し、支援します。
また高度進行期だけに限りませんが、症状緩和でステロイドを使う機会があります。
ステロイドは一般に血糖マネジメントを悪化させるので、糖尿病治療の再調整が必要となります。
まとめ
がんで長期生存を目指す考えからすれば、糖尿病の適正な治療は非常に重要です。
一方で、がん治療の状況に合わせて糖尿病の治療や食事療法なども微調整することが求められます。
またステロイドのように、症状緩和に有効な薬剤自体も、糖尿病の状態に影響を与えます。
医学的な観点からばかりではなく、生き方や価値観なども総合的に検討し、全人的ながんの糖尿病加療に臨む必要があります。
患者さんやご家族側の視点としては、それぞれの専門家に助言を求めることはもちろん、緩和ケア科などの統合的な視座を持つ専門家に関与を求めることも有効だと考えられます。
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