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緩和ケア病棟・ホスピスのある病院の探し方
緩和ケア病棟・ホスピスのある病院、どのように探したら良いか、皆さんはご存知ですか?
それについて説明します。
緩和ケア病棟・ホスピスを探す時
まずはいつ探すか。
緩和ケア病棟やホスピスは以前お伝えしたように、
緩和ケアを受けたい場合はこの5つの病院・医師 早期緩和ケア度と費用も掲載
基本的には①がんに対する治療が効かなくなった際に、②入院治療をしてくれる(最期まで。状態次第では再度在宅移行することもあります)という施設です。
”基本的には”としたのは、中には治療中からの緩和ケア外来を開設している緩和ケア病棟・ホスピスもあるからです。→緩和ケアを受けたい場合はこの5つの病院・医師 早期緩和ケア度と費用も掲載
キリスト教のバックボーンがある施設はホスピス、そうではないものは緩和ケア病棟と呼称することが多いですが、医学的には大きな変わりはありません。そのため、このページで緩和ケア病棟と記してあるものは、緩和ケア病棟とホスピス両方に当てはまります。
中には、治療中からも入院予約面談をしてくれる緩和ケア病棟もありますが、数は限られています。
緩和ケア病棟・ホスピスを探す時は基本的には、a)「治療が効かないため等の理由で終了になった」あるいはb)「今の治療があまり効いていない上、次に有効な治療法もない」という場合となるでしょう。
厳しい緩和ケア病棟だと、b)でも面談予約を受け付けてくれないこともあります。
a)になってからだと、待っている間に余命が尽きてしまう可能性があります。
非常に悩ましいところですが、全力で準備を進めるしかありません。
ではどのように緩和ケア病棟を探せばよいのでしょうか?
STEP1 日本ホスピス・緩和ケア協会のホームページで探す
インターネットをあまりされない方は、次のSTEP2からになってしまいます。
しかしこの早期緩和ケア相談所ホームページをご覧の皆さんは、普通にインターネットを使っておられることだと思いますので、「まずご自身でも調べる」ことをお勧めします。
日本ホスピス・緩和ケア協会という歴史ある協会があります。
ここのホームページの「正会員」に、各緩和ケア病棟の名前とリンクが記載されています。下がリンクです。
日本ホスピス緩和ケア協会 正会員名簿
まずはご自身がお住まいの場所に近いところを探してみるのが良いでしょう。
緩和ケア病棟には歴史があり実力があると捉えられている施設がいくつかあります。
しかし、そのような施設よりも、私のおすすめは「近いほうが良い」というものです。
近さは、様々な要素の中でも非常に大切で、また有利なものです。またこれは改めて述べることがあるかもしれません。
さて、それではさっそくお目当ての施設に電話……はちょっと待ってください。
次にやるべきことがあります。
STEP2 主治医に紹介してもらい病院のソーシャルワーカーなどと相談する
緩和ケア病棟によっては、基本的に(患者さんやご家族からではなく)医療機関からの連絡で面談を受け付ける施設があります。
また直接の面談予約を受け付けてくれる施設であっても、「紹介状」「画像」は必須です。
すなわち外来担当医に、紹介状を書いてもらう必要があります。
先に緩和ケア病棟の面談を予約し、担当医に「予約しました」と伝えても、「え? ◯◯さんはまだそのような時期ではないですよ」と言われる場合もあります。そしてその担当医の捉え方のほうが正しい場合もあります。
せっかく緩和ケア病棟に面談をして、入る気があっても、そもそも時期でなかったり、担当医に「今は紹介状を書けません」と言われてしまったら、二度手間です。
下調べはあくまで下調べで、主治医に「緩和ケア病棟・ホスピスの入院希望があるので、ソーシャルワーカーなど病院の紹介部門との面談をしたい」とはっきり伝えてください。
そこでかかっている病院の連携調整部門とつながることになります。
STEP3 かかっている病院の連携調整部門で相談する
各病院ごとに名称は異なりますが、地域連携室などの名前が付いていることが多いです。
そこで希望する緩和ケア病棟・ホスピスの入院手続きに関してしっかり尋ねてください。
10年前に私がある某超有名病院の地域連携部門で直接話を聞いたところ、「うちでは患者さんに希望施設を自分で探してもらっています」という返答がありました(!)。
これは実は極めてリスキーなやり方で、例えば患者さんが「近いから」という理由で、緩和ケアがほとんど提供できない病院を選んでしまうかもしれません。これは考えただけで恐ろしいことですし、大変な結末をもたらす可能性があります。
さすがにそれから10年以上経っていますから変わったと信じたいですが、このようなこともありますから、日本ホスピス緩和ケア協会のホームページで「緩和ケア病棟・ホスピス」を事前に調べておくことがここで活きてきます。
もちろん良心的な病院の地域連携部門は、しっかりとこの施設が良いのではないか等とドンピシャのところを紹介してくれます(そこが腕の見せ所ですね)ので、心配はいらないですが、これも施設や担当者ごとに差異があります。
中には、非常にホスピタリティあり緩和ケアも提供してくれる療養型の病床もあるとはいえ、原則的に、がんの末期の患者さんが(特に最後までの)入院加療を希望するならば、緩和ケア病棟・ホスピス一択だと考えます(同病棟がある地域ならば)。
私は療養型病床を併設している一般病院で働いたこともありますし、在宅、ホスピス、大学病院全てで常勤経験がありますが、終末期に入院するならば緩和ケア病棟が一番良いと思います。
近くても、普通の病院や療養型の病床はよほど緩和ケアに精通しているという何らかの証拠がない限り、基本的には避けたほうが良いでしょう。それらの病院の実力が……というのではなく、いつもお伝えしている「専門性の違い」です。
かかりつけ病院の地域連携部門で手続きを聞いて、あるいは直接調整をしてもらって、時期が来たら緩和ケア病棟・ホスピスの入院面談となります。
入院面談後、緩和ケア病棟での判定により入院受け入れ可となったら、順番が回ってくれば入院です。
患者さんによっては、複数の施設を併せて入院予約面談を行いますが、私はそれで良いと考えます。
というのは、施設ごとにハードやソフトが異なるからです。自分に合った施設を、実際に足を運んで決めるのが良いでしょう。
中には見学を事前に希望される方もいらっしゃいますが、それも一法だと思います。
ただし、事前にいくら希望していても、実際に申し込むタイミングが遅いと時期を逸してしまいがちです。
担当医や連絡調整部門とよくコンタクトを取って、時を過たず紹介してもらうのが重要でしょう。
まとめ
緩和ケア病棟・ホスピスのある病院の探し方で3つのやるべきことを記しました。
よくある間違いは、自分で調べることに熱心になりすぎて、ふさわしくない施設を候補に挙げてしまってそこに執心し、結局入院できなかった……等となることです。
例えば、治療完全終了でないと面談予約もできない施設にこだわって、実際の余命はかなり短いと推測されるのにそこの待ちだけしていて、結果間に合わない……などが考えられます。
担当医と病院連携部門がうまく対応してくれることもありますが、前述したように今ひとつコミットしていない連携部門もあるようですし、緩和ケア病棟・ホスピスと療養型病床の区別があまり付いていない担当医もいて苦痛が強い患者さんに(一般に緩和ケアが手薄なことがある)療養型を普通に勧めているケースなどもあります。
その点では、緩和ケア部門ともつながっておくとより万全と言え、緩和ケアに不安が残る病院・病床へ移行しないような安全弁的働きも期待できるでしょう。
参考になれば幸いです。