緩和ケアは末期じゃない
下の動画でも紹介しているように、緩和ケアは末期ではありません。
ここをご覧になっていらっしゃる皆さんは、緩和ケアが末期ということが正しくないのはご存知でしょう。
これは誤解の第一弾です。
けれども、緩和ケアが「症状が出たらかかる」という言葉、これも必ずしも正しくはないのです。
これが誤解の第二弾なのです。
臨床試験の良い結果は、定時受診で得られている
早期からの緩和ケアの効果をみるために、臨床試験が組まれました。
それらは、〇必要時にかかるという形式と、〇必要性を感じていなくても定期的に受診するという比較になっています。
早期緩和ケアの幕開けとなった研究が下記です。
Early Palliative Care for Patients with Metastatic Non–Small-Cell Lung Cancer(英語)
これは、緩和ケアをした群と、しなかった群の比較ではありません。
スタンダードケア群では、「患者、家族、腫瘍医」の要求がなければ緩和ケアにかからない、と書いてあります。
逆に言えば、患者さんなどが要求すれば、緩和ケアを受けられた群です。
すなわち「患者、家族、腫瘍医」が必要性を感じた場合に緩和ケアにかかる群と、少なくとも1ヵ月に1回は緩和ケアにかかる群の比較なのです。
それで生存期間中央値に統計的な有意差がついた(緩和ケア定期受診群のほうが長かった)ので、以後の早期緩和ケア関連研究は多くが定期受診を前提にしています。
診断時からの早期緩和ケア定期受診で1年生存率が向上する【遠隔相談で】
では定期受診のメリットは何?
上述の非小細胞肺がんの研究における生存期間中央値の有意差は、死期が迫っての抗がん剤治療の頻度が少なかったこととの関連が言われています。
要するに、「正しい選択」が支援されたということです。
患者さんもご家族も、様々な問題を抱えていらっしゃいます。
その中には、様子を見てよいもの、様子を見るべきものばかりではなく、早期対処が望ましいものが隠れています。
またがん治療の意味や治療の理解についても、一般外来の短い時間だけでは不十分なことはむしろ当たり前のようにあるものです。
正しい知識や理解が得られるように支援することが、正しい選択に寄与し、良い延命につながってゆくのです。
不安も解消されます。
このような予防についてのアプローチが、生存期間中央値の長さにつながったとも言えるでしょう。
逆に旧来型の、「必要時にかかる」という形式で、同じような効果が得られるかは不明確です。
「必要時」というのは、すでに予防の時期ではありません。
必要性をあまり感じない時期から定期的にかかることが、予防を可能とするのです。
緩和ケアは末期ではない、〇〇である
それなので、緩和ケアは末期ではなく〇〇です。
下記の動画で紹介しました。
予防のメリットは、一見みえにくいです。
しかしいたずらに苦痛を出したりして、あるいは不安が極大化してからかかることは、良いことは一つもありません。
「緩和ケアは苦痛がある時ではなく、予防である」
そのような正しい認識の広まりを願ってやみません。
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