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慢性腰痛の定義と原因

慢性腰痛を患っている方はとても多いです。

発症からの期間が3ヶ月以上だと、定義上は慢性腰痛となります。

なお、がんを患っておられる方が腰痛を自覚すると、骨への転移を心配される方もいらっしゃるようです。

しかし必ずしも原因は骨転移とは限りません。

腰痛を自覚する病気は様々にあるからです。

かかるべき診療科としては、整形外科となります(※がんの患者さんの場合はまず担当医に相談)。

ただX線検査で異常がないと判断されても、腰痛が続く際は、腰椎MRI検査などを受けるのも検討されます。X線検査でわからない異常が発見されることも珍しくはないためです。

画像検査を通して、腰椎椎間板ヘルニアや腰部脊柱管狭窄症等と診断されることもあります。

慢性腰痛がある場合は、まずは原因を検索することが大切です。

 

はっきりとした器質的原因が見当たらない腰痛もある

画像で原因がはっきりしない腰痛はけして稀ではありません

そのような慢性的な腰痛には様々な原因が考えられています。

参考;手術後ずっと痛い 慢性の痛みの鎮痛 痛み止めと緩和ケア

例えば、脳内の「快の情動系」の機能低下と、痛みを和らげる神経系の「下行性疼痛抑制系」の同じく機能低下が生じている可能性なども指摘されています。

要するに、腰が原因というよりも、脳内の変化が慢性痛の自覚・増悪に関与している可能性があるのです。

 

慢性痛に関しては鎮痛薬の使用は十分熟慮して

疼痛が和らげられるのは良いに越したことはありません。

特にがんからの痛みに関しては、それがほぼ確定的です。

一方で、がんからではない痛みに関して、鎮痛薬をどこまで使用するかは十分検討されなければなりません。

例えば、がんの場合では(日本においては)ほぼ依存を形成しないことが知られている医療用麻薬も、はたして慢性痛に関してもそうかというと、事例によってはそうではない可能性があります。

がんではない慢性痛に関しては、医療用麻薬治療は慎重に熟慮して行うのが妥当です。

また安易にプレガバリン(商品名リリカ)などが処方されていて副作用が出現しているケースもあります。

痛みが緩和されるべき、となったのは、「痛みは我慢」が根強く存在する日本において歓迎すべき変化ですが、しかし薬剤治療だけ優先する、それも適応が微妙だったりなかったりするような痛みにまで治療が為されているのを見ると、考え込まざるをえません。

 

夜中に腰が痛くて目覚める場合は何が考えられる?

夜に腰が痛くて起きるという方も少なくないようです。

それには次のような原因が考えられています。

参考引用;朝の腰痛への対処

夜間動かさない時に、腰部の関節や靭帯、筋や筋膜などが固まってしまって、夜間や朝方に動かしたときに痛いという原因。

腰部の椎間板の内圧の低い夜間に水分が椎間板内に溜まって内圧が高まり腰痛を引き起こすという原因。

夜に寝ている間は痛みを意識せずにいる一方で、ひとたび起きたり眠りが浅くなったりしたときは痛みを意識してしまって、余計に痛く自覚されるという原因。

寝ている姿勢に問題があるために、腰痛が起こるという原因などです。

ベッドのマットレスを硬めのものにすることや、覚醒した場合もベッドや寝具の上で体をゆっくりストレッチするなどが対処法として考えられます。

 

慢性腰痛にはストレッチも有効

インターネットを調べるとたくさん出てきますが、ストレッチは有効です。

下記のサイトがよくまとまっています。

参考;ストレッチング、体幹筋トレーニングを

ジャックナイフストレッチ、ドローインなど実行しやすい運動が紹介されています。

腰痛も慢性痛で、基本的には疼痛を感じやすくなるメカニズムが働いている状況だとは思われますので、鎮痛薬にも一定の限界があり、鎮痛薬以外の対策も重要でしょう。

 

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About 大津 秀一

緩和医療専門医/緩和クリエーター。数千人の患者さんの緩和ケア、終末期医療に携わり、症状緩和のエキスパートとして活動している。著書や講演活動で、一般に向けて緩和ケアや終末期ケアについてわかりやすくお伝えすることをライフワークとしている。