東京の緩和ケアの特徴
東京は、緩和ケアの提供元に関しては相対的に豊富です。
緩和ケア科は一般にはメジャーな存在ではありません(ここをご覧くださっている方には感謝です)。
専門家の数も少ないです。
しかし、東京に関しては、他地域よりは多くの専門家がいます。
専門家は多くが大病院やホスピス・緩和ケア病棟、在宅緩和ケア施設で勤務しています。
「病院の名前 + 緩和ケア外来」で検索すると、東京では多くの病院が緩和ケア外来を持っていることがわかります。
緩和ケア外来は1種類ではない
緩和ケア外来と言えば、症状を和らげてくれるものと皆さんは思われるでしょう。
確かにそうですし、緩和ケア外来は他にもたくさんの意味があります。
当ページでもこれまで述べてきた通りです。
さて、ある種の緩和ケア外来は「症状緩和が目的ではない」とお伝えしたら、皆さん驚かれませんか?
実は緩和ケア外来には2種類あります。
皆さん当事者にならないと、このようなことをご存知のことはまずありませんから、戸惑われることもあるのです。
さて、1つは私が行っているような、治療中からも受けられる、症状緩和目的の外来です。
なお当然のことながら、抗がん剤などのがん治療の副作用に関しても、おかかりの病院でカバーしきれていない部分を対処することもできます。
ところがこの外来は、持っている病院ばかりではなく、また広範囲の患者さんが利用可能になっているかというと必ずしもそうでもありません。
病院ごとの、あるいは担当する緩和ケア部門の医療者の考え方が反映されます。
さて、もう1つの「緩和ケア外来」、それは「入院予約のための外来」です。
これも「入院予約外来」と呼ばれますが、病院のホームページによっては「緩和ケアの外来」と記されているので、混乱を招く場合があります。
このタイプの緩和ケア外来は、ホスピスや緩和ケア病棟を有する病院等で行われています。
あくまで入院を予約するための外来です。
それなので、医療機関によっては、入院予約をするけれども、入院までの症状緩和に関しては、おかかりの病院での対応を指示される場合もあります。
また一般に、緩和ケア病棟等への入院を勧奨されるのは、病気がそれなりに進んだ場合なので、この時点からの緩和ケア外来は遅めの開始となります。
症状緩和などでの緩和ケア外来が行われているかどうかは、問い合わせてよく確認するようにしましょう。
自施設にこだわらないほうが良い場合も
自院で緩和ケア外来を受けられるのは、ラッキーと言えます。
それは都市圏以外だと、緩和ケア外来を担う専門家が少なくなるからです。
受けたくても、まったくそのような部門がない、ということも稀ではありません。
もっとも、全国を見渡すと、地域によっては非常に緊密な緩和ケアのネットワークが形成されている場所もあり、そのようなところだと連携がうまくいっている分、東京の平均的状況よりも緩和ケアのアクセス性が高い場合もあります。
旧来、日本の医療においては、患者さんは担当医にすべてを委ね、他の医師にかかるなど悪いという気遣いもありました。
けれども、最近の大病院では、複数の医師が携わるチーム医療が通常です。
これは端的に言って、「そのほうがメリットがあるから」です。
医学知識の集積は膨大で、医師も勉強し続けていますが、今や医師がすべての分野に精通するということは不可能です。
緩和ケアの専門家は少ないので、必要な場合は、意識的な医師は多くが緩和ケア医をチームに入れています。
各領域の専門家がベストを尽くし、担当医はその調整者として腕をふるうことで、患者さんはより良くなります。
けれども旧来の考え方がまだ残っていますから、痛みやつらさがあっても自分ひとりでお抱えになって、言わない、あるいは担当医に少しだけ言う程度で我慢されている方はまだまだ多くいらっしゃいます。
患者さんにとって最良なのは、専門家がうまく連携して、それぞれの専門性から最高の結果を出すことです。
そしてそれが当たり前になってきています。
緩和ケアの専門家は数が少なく、また一貫して緩和ケアは必要だということはあまりにも知られていないため、緩和ケア医がいるかどうかで病院を決める方は絶無でしょう(がん診断期、がん治療初期には)。
けれども、それがのちのちに響いてくる可能性があるのが、これまでの運任せのやり方でした。
自施設で緩和ケアにかかれない、あるいはかかりづらい、というような場合は、当所のような形式を利用して頂く選択肢が加わりました。
まとめ
まとめます。
東京の緩和ケア外来に関しては……
● 数は多い
● 症状緩和目的の緩和ケア外来なのかは尋ねる
● 選択肢は多いので、かかりつけ医以外の他施設の緩和ケア外来との併診も考慮
ということが言えます。
東京では基本的には探せば見つかるのですが、早い段階から緩和ケアを受けるということが知られていないため、それがアクセスを妨げているのは全国的な課題と言えましょう。
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