HER2陽性乳がんの治療薬パージェタ(ペルツズマブ)
HER2陽性乳がんの治療薬にパージェタ(薬剤名はペルツズマブ)があります。
HER2陽性の手術不能又は再発乳癌が適応症でしたが、2018年10月より「HER2陽性の乳がんにおける術前・術後薬物療法」に使用可能となりました。
HER2陽性乳がんは、腫瘍細胞にHER2蛋白及びHER2遺伝子の増殖が認められ、細胞の増殖に関係しています。
パージェタと、術前・術後療法で併用されるトラスツズマブ(商品名ハーセプチン)はそれぞれHER2受容体の異なる部位に働いて腫瘍の増殖を抑制します。
異なる部位に働くので、副作用も異なります。
ハーセプチンは心臓の障害を起こすことがあるのが有名です。
それに対して、パージェタで頻度が高い副作用・・・それは下痢です。
パージェタの下痢の頻度は多い
パージェタの下痢の頻度は約7割に達するとされています。
ただ頻度が多い割に、幸いにして、重度なケースは少ないともされます。
また65歳以上だと、65歳未満の患者と比較して重めの下痢の発生率が高いとのことです。
治療の最初のサイクルで最も頻繁に発生し、サイクルとともに減少するとされ、始めのほうにより対処が必要となります。
パージェタの下痢をどう対処するか?
パージェタの下痢にどう対処するのか。
一般的に使用されているのはロペラミドとのことです。
【参考;ロペラミド(商品名ロペミン)の使用法】
◎12時間下痢がないという状態になるまで、まずロペラミド4 mgを服用し、4時間ごとに2 mgを追加服用。12時間下痢がなくなったらロペラミドを中止。1日16 mgを超えない。
「ロペラミド1mgを速やかに内服させて経過観察。その後は1回1mgのロペラミドを1日2回内服。下痢の消失を確認した12時間後まで内服」という方法も選択可能です。
ただし使われているものの有効性は不明との見解(Incidence and management of diarrhea in patients with HER2-positive breast cancer treated with pertuzumab)もあります。
食事に関しては、以下の対策が取れるでしょう。
◎脂っこい、辛い、または揚げた食べ物を避ける
◎牛乳、カフェイン、アルコール、高繊維の野菜は避ける
◎3食ではなく少量に小分けして食べる
まとめ
幸いにしてパージェタの下痢は投与中止が必要となるほど高度化することは少ないようです。
けれども投与初期に副作用が強いと、心身に与える影響も無視し得ないため、適切な対策が必要でしょう。
乳がんの新規治療薬のベージニオでも下痢が問題になりますが、それよりは軽いようです。
ただし不快な症状であることは間違いありませんから、担当医とよく相談しましょう。
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