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緩和ケアとペインクリニックは同じ? 別?

緩和ケアとペインクリニックはまた別なのですか? というご質問を頂きました。

『今のところ苦痛などがないので、どうしようかな(ブログ主補足;緩和ケアに)いつ行こうかなと思いながら道を歩いていたら、「ペインクリニック・麻酔科」を標榜する医院があったので、質問させていただきました。私はペインクリニックはどちらかというと整形外科にかかる人が行くイメージがありました。癌にはどうなのかな、と思いました』

良いご質問で、確かに、疑問に思う方もいらっしゃる内容だと思います。

 

緩和ケアとペインクリニックの違い

結論から言えば、2つの科あるいは専門は、別のものとなります。

ペインクリニックは

「症状や身体所見から多角的に痛みの原因を診断し、薬物療法だけでなく神経ブロックを始めとする各種の治療法を駆使して痛みを軽減・消失させQOL(生活の質)を向上させます」(日本ペインクリニック学会HPより)

とありますように、特に「痛み」を改善する治療です。

ペインクリニックを表示されている先生は、神経ブロックの名手が多いです。

私も優れたペインクリニシャン(ペインクリニック施行医。麻酔科医)を知っておりますが、その先生の神経ブロックでの痛み緩和の技術は素晴らしいです。

緩和ケアは

「生命を脅かす疾患による問題に直面している患者とその家族に対して、痛みやその他の身体的問題、心理社会的問題、スピリチュアルな問題を早期に発見し、的確なアセスメントと対処(治療・処置)を行うことによって、苦しみを予防し、和らげることで、クオリティー・オブ・ライフ(QOL:生活の質)を改善するアプローチ」(世界保健機関)です。

痛みだけではなく、吐き気や息苦しさ、身体のだるさなどの痛み以外の身体の苦痛や、不安、うつ、気持ちの問題など精神的苦痛経済的問題や仕事、人間関係などの社会的問題等、総合的な苦しみやつらさに対処します。

また「予防」も大切なので、早期から対処して問題が大きくならないようにするのも緩和ケアです。

一部重なるところはありますが、内容は上のように異なりますし、それぞれの専門家はその違いを認識しています。

 

がんにおける緩和ケアとペインクリニック

ペインクリニックはがんの痛みも対応してくれます。

ただ、最初から神経ブロックということはあまりなく、私が以前勤務していた病院では、(がんの痛みの場合は)まず緩和ケア医が薬の治療で軽減できるかどうかで初期対応を行い、神経ブロックが必要と思われる難しい痛みに関してペインクリニック施行医に改めて依頼しておりました。

基本的にペインクリニックは神経ブロックも含めた「痛み」の専門家です。

一方で、がん等のご病気をお持ちの方が、元気に治療を完遂し、良い時間を長く送れるための(あるいは完治するまでの)支援という目的では、緩和ケアの適応となります。

がん治療医の押川勝太郎先生は緩和ケアを「がんの防災」と仰られていますが、これは非常に当てはまる表現で、早期対応開始することで、苦痛や不安等の諸問題が「起こらないようにする」「予防する」「軽くする」というのが早期からの緩和ケアの本態です。

それなので、苦痛がないうちから、正しい情報で身を固め、病と治療に負けない心身をつくるための支援を早期緩和ケア外来では行っています

そのような意味では受けるのが早すぎるということは基本ないです。

以前在籍していた病院でも、超早期から「言われたので来ました」と早期緩和ケアに理解がある主治医から言われて半信半疑で、あるいは意味もわからず(?)受診された患者さんが何人もおられましたが、何度か受診されるうちに良さを実感して頂いたようです。

 

まとめ

このように、薬だけではなく神経ブロック等も用いて痛み治療を行うことの専門科がペインクリニックですし、痛みだけではなく幅広い側面から生活の質を維持・向上させるのが緩和ケアとなります。

状況と相談するのが良い科は下記のようになります。

◯ペインクリニックは特に痛みの専門家、緩和ケアは痛みを含めた様々な苦痛(身体、気持ち、社会的問題等)の専門家

◯がんの痛みの場合は、まず緩和ケアのアプローチが優先される

◯整形的な痛みは、緩和ケアよりもペインクリニックや整形外科が優先される

◯がん以外の病気の慢性的な痛みは、ペインクリニックへのファーストコンタクトが一般的には良い

◯がん以外の病気の痛み以外の慢性的な身体のつらさ(呼吸困難等)は担当医や緩和ケア

◯がん以外の病気による精神的なつらさは精神科、心療内科あるいは緩和ケア(元々精神疾患の既往歴がある場合は、精神科や心療内科が良い。逆に、それらがなく、病気のせいで気持ちがつらいという要素がつらければ<特にがんの場合>緩和ケア)

ご参考になればと存じます。

 

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About 大津 秀一

緩和医療専門医/緩和クリエーター。数千人の患者さんの緩和ケア、終末期医療に携わり、症状緩和のエキスパートとして活動している。著書や講演活動で、一般に向けて緩和ケアや終末期ケアについてわかりやすくお伝えすることをライフワークとしている。