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診断された時からの緩和ケアをどうする?

国は2012年から「診断された時からの緩和ケア」をうたっています。

しかし普及どころか、周知も進んでいないことはこのサイトでも紹介して来た通りです。

けれども、進行がんの場合に、あるいは他の疾病の場合でも、診断された時から緩和ケアを受けることが、生活の質の改善や抑うつの減少という良い効果を得ることができることは、すでに海外の諸研究でも示されています。

あまつさえ、緩和ケア受診が3ヵ月遅れるだけで1年生存率まで差がつくという話まであります。

診断時からの早期緩和ケア定期受診で1年生存率が向上する【遠隔相談で】

たかが症状緩和でしょ、などと言っていられない知見が出て来ていますね。

ところが、診断された時から緩和ケアを情報提供され、あるいは知っていて、診断時や告知時からすぐに動いている方はどれだけいるのでしょうか?

ほとんどいないと言っても過言ではないと思います。

 

病気への適応を甘く見てはいけない

治療というと、すぐに薬剤や免疫等が思い浮かぶと思います。

手術や放射線治療もあるでしょう。

それらは確かに、とても大切です。

けれども、病とうまく対峙し、付き合う、その方法を知ることも、実は厳しい闘いを有利に進め、最終的な良い結果をつかみ取るために重要なことは、以前も述べました。

がん治療に関しては免疫治療も含めて薬物優先主義はなぜ?

例えば、代替医療「だけ」やっている群では死亡リスクが高くなるとした研究もあるように、間違った病気との付き合いをすると、悲しい結末が近づきます。

その一つ一つの、小さなものから大きなものまである決断を、病者は基本最後は一人で決めねばなりません。

早期からの緩和ケアはその決断の重要な支援者ともなるのです。

 

診断された時からの緩和ケア ではどうする?

担当医も、その医師によっては、非常にサポーティブに関わってくれるケースもあります。

医師からはしっかり情報を引き出すことが肝要です。

そしてまた、医療スタッフを上手に活用することが大切です。

病院の医師は時間がなかなか割けません。

いかに医師以外のスタッフから情報を得るかが重要になるでしょう。

困っていることは積極的に口に出し、助言を求めましょう。

それが早期からの緩和ケアの第一歩です。

 

病への適応を助けるのが早期緩和ケアと解すると、患者会も

述べたように、早期緩和ケアは病への上手な適応を助けるものです。

そう解すれば、やはり患者会は重要な早期緩和ケアの受け方の一つと言えそうです。

なるべく早く、同じ病気の患者会に参加してみましょう。

病気の付き合い方の先輩たちからいろいろ学ぶことがあるでしょう。

ただ患者会も充実度には地域差があり、お住まいの地域によってはなかなか難しいこともあるかもしれません。

 

そのような場合の当院早期緩和ケア外来

早期緩和ケアは、腫瘍治療チームが提供するものと、一般には考えられています。

そして、緩和ケアの専門家ともジョイントし、適切な支援を行います。

問題は、皆さんに関与するだろう腫瘍治療チームの、緩和ケアの充実度がそれこそ千差万別であることです。

ケースによっては、まったく早期から(場合によっては相当遅くまで)緩和ケア的なアプローチを受けられないという場合もあるのは現実です。

すべてに、診断時や告知時から緩和ケアの専門家の支援が必要とは言えないかもしれません。

しかし実際には、腫瘍治療チームの緩和ケア力によっては、最初期から緩和ケアの専門家が関与するほうが、述べてきたような病との上手な付き合い方や正しい選択の支援を行うことから、生活の質の向上や長期生存によりつながるだろう場合があるでしょう。

最初から、当院のような専門サービスを受けるメリットがある事例も多々あると考えられ、それを想定してオンライン機能も設けた診断時からの緩和ケア併診を行って全国対応しています。

 

まとめ

がんを患っていても、歯が悪ければ歯科に、眼が不調ならば眼科にかかるのが当然でしょう。

なぜこれまで、症状を緩和し、病への適応と付き合い、正しい選択を支援する緩和ケアに関しては、最初から専門家にかかるという選択肢があまり生じなかったのかが不思議です。

もちろんそれは緩和ケアの専門家の数の不足もあったでしょう。

いずれにせよ、最初から併診の価値がある部門として、緩和ケア科があるのだということは、もっと周知されてほしいものです。

皆さんもぜひ周囲にがんと診断された方や告知を受けた方がいらっしゃったら、早期からの緩和ケアの必要性と受け方について情報提供して頂ければと存じます。

 

家族への緩和ケアの伝え方を動画にしました。

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About 大津 秀一

緩和医療専門医/緩和クリエーター。数千人の患者さんの緩和ケア、終末期医療に携わり、症状緩和のエキスパートとして活動している。著書や講演活動で、一般に向けて緩和ケアや終末期ケアについてわかりやすくお伝えすることをライフワークとしている。