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続々登場早期緩和ケアの新知見 今度は呼吸器疾患

……といっても、もう数年前の発表なのですが。

早期緩和ケアが、COPD(閉塞性肺疾患)や間質性肺疾患でも良い効果をもたらすことを示した研究が論文になっています。

An integrated palliative and respiratory care service for patients with advanced disease and refractory breathlessness: a randomised controlled trial.

ランダム化比較試験です。

研究はイギリスで行われています。

呼吸困難支援サービスを、通常のケアに上乗せして効果を見ています。

やっていることはかなりがっつりやっています。

まず1回、緩和ケア外来で呼吸器科と緩和ケア医の診察を受けます。

そして授けられるのは、呼吸困難対策パック。

パックの内容は、情報、マネジメント方法、手持ちのファンやウォータースプレーの使い方、呼吸困難時に唱えるマントラ(!)、呼吸困難増悪時の方針の策定・同意などでした。

2、3週間後には理学療法士らが家に来て、運動等のマネジメント法を指導してくれます(これは結構良いですね)。

4週間後には再度緩和ケアの専門家と面談を行います。

そして、早期にそれらを行う群と、コントロール群に分けられているのですが、コントロール群でも6週間後に同様なプログラムが提供されます。

たった6週間。

大して変わらないような気が……と思ったら、なんと大違いでした。

 

がん以外では生存期間にまで影響

スケールの評価で、息苦しさが早期緩和ケア群で改善したことは理解できる結果です。

しかも……この生存期間

COPDと早期緩和ケアと生存期間

An integrated palliative and respiratory care service for patients with advanced disease and refractory breathlessness: a randomised controlled trialより引用

そう、呼吸困難対策支援を行った早期緩和ケア群のほうが有意に生存期間が長いことが確認されたのですね。

ただこの有意差が確認されたのはがん以外となります。

COPDや間質性肺疾患で、統計学的に有意な生存期間の長さが示されたのです。

 

呼吸器疾患でも早期から緩和ケアの専門医を併診につけることの重要性

介入内容からも明らかなように、呼吸困難に特化したサポートが為されています。

ただそれで、6週間早いか遅いかの違いでもカプランマイヤー法による生存曲線に差がついたことは驚きです。

症状や病気に対して適応を助ける、それもできるだけ早く。

そのようなサポートが生命を延長させる可能性があるのです。

非がんの緩和ケアにおいては、がん以外の専門家と緩和ケアの専門家がチームを組んで対応します。

早期緩和ケアはもともと、担当医と緩和ケア医の併診が前提です。

がん以外の病気においても、それが重要となるでしょう。

 

 

緩和ケアは末期になってからではありません。下の動画にあるように上手に勧めましょう。

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About 大津 秀一

緩和医療専門医/緩和クリエーター。数千人の患者さんの緩和ケア、終末期医療に携わり、症状緩和のエキスパートとして活動している。著書や講演活動で、一般に向けて緩和ケアや終末期ケアについてわかりやすくお伝えすることをライフワークとしている。