乳がんの新規治療薬のパルボシクリブやアベマシクリブ
乳がんの新規治療薬に選択的CDK4/6阻害薬のパルボシクリブ(商品名イブランス)とアベマシクリブ(商品名ベージニオ)があります。
選択的CDK4/6阻害薬のメカニズムとしては「ホルモン受容体(HR)陽性乳がんでは、エストロゲンの刺激によりサイクリンD1が発現し、CDK4/6が活性化され、その結果として細胞周期が進行する。選択的CDK4/6阻害薬であるアベマシクリブは、1日2回連日投与される経口薬であり、CDK4/6を持続的に阻害することで、細胞周期の停止が持続し、腫瘍細胞の老化やアポトーシスがもたらされると考えられ」ます(ホルモン抵抗性乳がんへのアベマシクリブ+フルベストラントより引用)。
同じ選択的CDK4/6阻害薬ですが、イブランスとベージニオは違いがあります。
それを別記事で解説しました。
ベージニオでは下痢が問題になります。
ただ対策が不十分である場合もあるようです。
ベージニオの下痢をどう対処するか?
ベージニオの下痢にどう対処するのか。
英語サイトではすでに対処法が紹介されています。
Management of Abemaciclib Associated Diarrhea(英語)
治療の最初のサイクルで最も頻繁に発生し、中央値の発症は6日から8日の間だそうです。
まず食事は下記が適しています。
【ベージニオの下痢対策 食事編】
◎脂っこい、辛い、または揚げた食べ物を避ける
◎牛乳、カフェイン、アルコール、高繊維の野菜は避ける
◎3食ではなく少量に小分けして食べる
◎バナナ、米、アップルソース、トーストが適している
◎1日3リットル以上の水分を摂取(水、スープ、スポーツドリンク等)
また上記の対策にはいくつかの薬剤名が挙げられていますが、日本でも使用可能な中では、ロペラミド(商品名ロペミン)が第一選択でしょう。
【ベージニオの下痢対策 薬剤はロペラミド】
◎12時間下痢がないという状態になるまで、まずロペラミド4 mgを服用し、4時間ごとに2 mgを追加服用。12時間下痢がなくなったらロペラミドを中止。1日16 mgを超えない。
「ロペラミド1mgを速やかに内服させて経過観察。その後は1回1mgのロペラミドを1日2回内服。下痢の消失を確認した12時間後まで内服」という方法も選択可能です。
まとめ
ベージニオの下痢に対しても、抗がん剤の下痢と同様の対策が推奨されています。
乳酸菌製剤はがん治療の薬剤の下痢には無効であることが多いため、注意が必要です。
ベージニオの下痢には、ビオフェルミンやミヤBMは適応となり難いでしょう。
また下痢が重度の場合はアヘンチンキも考慮されます。
ベージニオを服用している方も増えてきましたが、やはり下痢が問題になっているようです。
適切な対策はありますので、これらの情報をもとに担当医とよく話し合いましょう。