これまでも希少がんの緩和ケアを各病気ごとに解説
これまでも希少がんに属するような腫瘍の緩和ケアについて解説してきました。
上の記事でも書いてきたように、緩和ケア医は腫瘍を選ばず緩和ケアの診療を行います。
そのため、通常は各科の専門家が治療を行う希少がんですが、緩和ケア医は横断的に様々な希少がんを診療します。
したがって、数多くの患者さんを診ている緩和ケア医ならば、希少がんの診療経験も増えます。
具体的には詳しく解説した腫瘍以外に、どのような希少がんがあるでしょうか。
希少がんの種類はこちら
下記が希少がんに属します。なお頭から書いています。
・脳腫瘍
・眼の腫瘍
・嗅神経芽細胞腫
・腺様嚢胞がん
・胸腺腫・胸腺がん
・悪性胸膜中皮腫
・肺カルチノイド
・胚細胞腫瘍(全身のいろいろな場所に生じます)
・神経内分泌腫瘍
・神経内分泌がん
・GIST(消化管間質腫瘍)
・小腸がん(十二指腸がん・空腸がん・回腸がん)
・副腎がん
・尿膜管がん
・腹膜がん
・腟がん・外陰がん
・肛門がん
・皮膚の腫瘍
・肉腫(リンク先を参照。全身に発生)
・デスモイド腫瘍
・原発不明がん
・小児のがんや肉腫
年間発生数は10万人に6人未満である一方で、その種類は200を超えるとされます。
希少がんの症状と緩和
それぞれ進展様式や、転移しやすい臓器は異なりますが、進行に伴い痛みや呼吸困難などの症状が出て来ます。
軟部組織や骨、内臓などに転移することによって痛みが生じます。
痛みには各種の鎮痛薬や医療用麻薬を用いて緩和を図ります。
肺転移は、希少がんにおいても、しばしば認められる症状です。
肺転移が進行したり、太い気管を腫瘍が圧迫したり浸潤したりすると、強い息苦しさや難治性の咳の原因となります。
これに関しても、例えば薬物療法としては医療用麻薬を用いたり、病気の状態によってはステロイドを用いることもあります。
また腫瘍の種別や進行具合により、例えば手術等の治療で機能や外観に影響を与えることがあり、その点での支援も重要となるでしょう。
他にも、抗がん剤などの化学療法が行われるような場合は、治療の副作用対策も重要になります。
悪心や嘔吐に関しては対策が進んでいますが、倦怠感や脱毛などの避け得ぬ問題もあり、医療者とよく相談して対処してゆく必要があります。
終末期になると痛みや呼吸困難の頻度も増え、また最終末期には鎮静が必要となることも多いです。
施設差や担当医による差もありますが、必ずしも希少がんの治療元の病院が緩和ケアを得意としているとは限らず、また病院の恒常的な時間不足から十分な支援や情報提供が及ばない場合もあり、緩和ケアの外部の専門家の力を借りるのが妥当なケースも多くあります。
3700人以上の腫瘍の方の緩和ケア経験があるので、希少がんの患者さんも多く拝見してきており、引き続き緩和ケアの支援を行い、苦痛の症状や不安の解消に努め、病気や治療の正確な理解を支援していきたいと考えております。
希少がんのセンターはすでに存在しますが、現在希少がん緩和ケアセンターは存在しないようです。私の運営しているクリニックも、希少がんの緩和ケアのハブ空港(センター)的に機能していきたいと考えます。