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相次ぐ芸能人の逝去

今年になってもたくさんの著名人の方がお亡くなりになっています。

がんで亡くなる方も多くいるように感じます。

大学病院で行っていた緩和ケア外来でも、「◯◯さんも同じがんで亡くなったし……」と心配そうな顔で仰る方もいれば、

特に何も言及されない方もいました。

ただ様々なルートからの報告では、やはり有名人の死は相応なストレスになっているようです。

とにかく、たくさんの方が亡くなっているように見えます。

しかし、実際どうなのでしょうか?

それを考えてみたいと思います。

 

芸能人ってどれくらいいるの?

芸能人はどれくらい皆さんいると思いますか?

日本タレント名鑑によると、約23000名(組)だそうです。

しかし、名の知れた方は一握りの厳しい世界ですね。

 

人口とがん死の数は?

総務省によると、昨年10月に日本の人口は1億2670万6千人です。

厚生労働省の人口動態によると、昨年のがん死者は37万3千3百人でした。

人口をがん死亡者で割ると、約339人に1人ががんで亡くなっていることになります。

芸能人というカテゴリーの方も、一般人口と同じくこの事象が起こると捉えると、

23000人のうち68人ががんで亡くなることになります。

(そういうことは実際にはないですが)均等にそれが起こるとすれば、5~6日に1回芸能人のがん死亡が生じることになります。

その中には当然有名人も含まれるでしょう。

そうすれば、毎月そのようなニュースが報じられても、全くおかしくないことになります。

さらに、全死亡者134万人で同様に計算すると、242/23000人となり、もしそれを丁寧に報じるならば、1.5日は芸能人の誰かが亡くなるというニュースに接することになります

もちろん有名人は芸能人ばかりではないですから、実際にはもっと多くなりうるのです。

 

すぐにインターネットのポータルサイトトップページに

現在は、インターネットで情報収集される方も多いでしょう。

有名な誰かが亡くなれば、速やかにポータルサイトのトップページにニュースが来ます。

あるいは検索していれば、容易に直近の死亡された方のニュースを見出すでしょう。

しかし、ある程度の母集団があれば、それなりの頻度で死亡者は出ます。

それを丁寧に拾えば、それこそ毎日のように誰かが亡くなっているということはおかしくはないことなのです。

したがって、一般と同じ頻度で起きている死亡でも、取り上げられるので、それが連続しているように見える、ただ実際としては、別に異様に多い頻度でもなくても、取り上げ方によっては頻度が多く起きているように見えることは何ら不思議がない、ということになります。

 

取り上げられているので、たくさん亡くなっているように感じる

きっと同じようなことを考えている人がいるのではないか。

そのように検索すると、ドンピシャの記事を見つけました。

なぜ2016年に有名人が次々と亡くなるのか

「1960年代から有名になり始めた人たちが、いま70歳代に差し掛かり、死に始めている」とニックは指摘する。「それに昔に比べて有名人が増えている。私の父や祖父の時代には、本当に有名だと言える人たちは映画俳優だけだった。テレビがなかったので。その後には、テレビに出ていないと有名人とは言えない時代が続いた」

(中略)

ベビーブーマー世代の赤ちゃんが大勢生まれたということは、その中から大勢がやがて有名になったということだ。そしてその有名になった赤ちゃんたちは今では52歳から70歳となり、亡くなり始めているのだ。

有名人というカテゴリーの人が増えたことや(確かにYahoo!のトップページなどでもあまり馴染みがない方の名前がトップに出てきて「死亡」「がん闘病」と取り上げられることもしばしばありますね)、

有名人の高齢化も指摘されていて、興味深い考察だと思います。

いずれにせよ、現代のメディアやSNSの特性により、私たちは過剰に特定の病気で誰かが亡くなると感じてしまう傾向があるかもしれません。

それを同病だとつい我が身に引きつけて考えてしまうのは、ある種当然かもしれません。

しかしそれが「本当に同じ」だと捉えて悲観的になる必要は、もちろんないのです。

病気は人の性格を変えたり、あるいは元々の性格を強化したりします。

誰もが思考の癖はあるものです。

緩和ケア外来等での対話を通して、自らそれに気が付かれれば解決もまた早いかもしれません。

とにかくがんも病気も人それぞれ。

ぴったり同じということは絶対にないので、あくまで参考程度に留め、悲しいニュースでひとたび心が沈んでも、その晩はよく寝て、翌日からは上手に切り替えてゆくことができれば良いと思います。

 

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About 大津 秀一

緩和医療専門医/緩和クリエーター。数千人の患者さんの緩和ケア、終末期医療に携わり、症状緩和のエキスパートとして活動している。著書や講演活動で、一般に向けて緩和ケアや終末期ケアについてわかりやすくお伝えすることをライフワークとしている。