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便秘薬フィーバー

便秘薬に新薬が相次いでいることを以前も紹介しました。

便秘に新しい薬剤が続々と出てきた 【便秘の緩和ケア】

下の記事も実は結構な便秘薬の説明です(特に大腸刺激性下剤)。タイトルがなんですが、読んでください。

しゅんしゅんクリニックPの「お薬言えるかな?」と緩和ケア薬

内服の便秘薬はずっと緩下剤と大腸刺激性下剤が中心でした。

大腸刺激性下剤は長期連用で効果が落ちることなどのデメリットがありました。

あと、便秘と下痢の交代になったり、久々に排便がある際は腹痛が出たりなど、なかなか自然な排便への回復というのは難しかったです。

そこに新薬が次々に出てきました。

それぞれ新しい機序で腸分泌を増やすルビプロストン(商品名アミティーザ)、リナクロチド(商品名リンゼス)、エロビキシバット(商品名グーフィス)の3剤が出ました(しかも各々別機序)。

ところで大学病院勤務時は便秘薬も一生懸命製薬会社の担当者が売り込みに来ていたのが、開業したところパタッと誰も来なくなりました。もはやネタにしていますが、世の中とてもゲンキンです。

ゴホン。

医療用麻薬の副作用の便秘対策薬のナルデメジン(商品名スインプロイク)も出ています。

これで4剤。

そしてさらにもう1剤加わって5剤になりました。

新便秘薬元年ですね。今年は。

しかも、便秘関係の記事は、私のブログでも意外に読んでいらっしゃる方が多く、受診された方にも「読みました」と多数お声を頂戴しています。

便秘はやはり多くの方にとって問題になりますね。

疾病の性質上なりやすいがんの方ばかりでなく、普段健康でも便秘に悩んでおられる方は多いですよね。

さてその新薬の名前ですが……

 

その名はモビコール

新薬の名はモビコール。

1日1回2包で、他の新薬と同じく1日1回投与(ただしルビプロストンは1日2回投与)なのが、実行しやすいですね。

薬価は1包83.90円なので、2包で168円/日(の保険割合分)

これまでのタダ同然の便秘薬に比べればかなり高いですが、新薬の中では高くはありません。

メカニズムは、これまた他の新薬とは異なります。

参考;慢性便秘症に使用可能な国内初のPEG(ポリエチレングリコール)製剤

参考;EAファーマ 慢性便秘症治療薬モビコール配合内用剤を発売 持田製薬と共同販売

小児にも使える(2~6歳は1日1包で)慢性便秘症の適応がある薬剤です。

浸透圧によって腸管内への水分貯留を促進し、便中水分量と便容積を増加させて便秘症状を改善します。

また、配合された電解質が腸内の電解質バランスを維持し、便中の浸透圧を適正なレベルに保持するのだそうです。

基本的には、浸透圧性の下剤ですね(メカニズム自体は他の新薬ほど新しくはない)

下痢、腹痛(各3.6%)が副作用で、重大な副作用としてはショックやアナフィラキシーを起こす可能性があるとか。

アナフィラキシーは便秘薬としては珍しいですね。

いずれにせよ選択肢はまた増えました。

 

まとめ

そうはいっても、新薬も万能ではありません

やっぱり劇的改善ほどではない、という申告が多いです。

食事や運動、水分摂取の励行など、生活習慣の改善が肝要です。

緩和ケアの従事者は、もちろん便秘には詳しいです。

いずれの新薬も、腸閉塞などの器質的な閉塞があるケースでは「禁忌(やってはいけない)」なので、しっかり専門家と相談してください。

 

 

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About 大津 秀一

緩和医療専門医/緩和クリエーター。数千人の患者さんの緩和ケア、終末期医療に携わり、症状緩和のエキスパートとして活動している。著書や講演活動で、一般に向けて緩和ケアや終末期ケアについてわかりやすくお伝えすることをライフワークとしている。