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今日は、早期緩和ケア大津秀一クリニックについての補足の説明です。

保険診療で受けられる緩和ケアを紹介してほしいお気持ちはわかります

「金額をかけずにかかれる緩和ケアを教えてほしい」

そのような気持ちもわかります。

私も、これまでそのような内容を紹介してきました。

早期から緩和ケア外来を受けることができる5つの方法

「外来で痛みや不安に真摯に向き合ってもらえない」どうするか? 3つの方法

緩和ケアを受けたい場合はこの5つの病院・医師 早期緩和ケア度と費用も掲載

一方で、病院の緩和ケア外来は赤字であり、積極的に緩和ケア外来を行う動機づけにならないことも記事「緩和ケア外来」でお伝えしました。外来をやるよりも、入院患者さんを回診したほうが、緩和ケア部門の収益は高くなります。

病院の緩和ケア外来があまり時間を取ってくれない」という他病院に通われる患者さんの声も伺ったことがありますが、上記のような理由も考えられます。

 

患者さんやご家族が様々なアプローチを用いて、緩和ケア部門を早い時期から受診できた、という話も聞きます。しかし、いくら手を尽くしても、それが叶わない、という方も相当数います。

早い段階から、専門的な緩和ケアを受けたほうが良いケースはあります

国の施策としては、「医師全員が緩和ケアをできるように」と動いており、早期からの緩和ケアをカバーしようとはしていますが、先述のように様々な事例がありますから、それで十分カバーされるのは難しいでしょう。

また大病院の緩和ケアチームもやらなければいけないことが年々増え、慢性心不全にも診療対象が拡大されたことは、時間的な制約の傾向を強めるでしょう。

 

完全保険診療で済めば、というお気持ちは痛いほどわかります。

けれども、保険診療の現場で今も働いている身からしても、広く緩和ケアを提供しようとした時に、完全保険診療では限界があるということも事実です。

実際、保険診療と自費診療について私の言葉足らずな部分を、在宅緩和ケアの現場で働いていらっしゃる先生方がお伝えくださっています。

『早期緩和ケア大津秀一クリニック』開設!小原りぼんクリニック・小原太郎先生

自費診療は悪か?虎太郎先生

新しいことを開始するのは、容易なことではありません。

しかしそのような中に、こうして数人の先生がエールを送ってくださっていることは、個人的には大変感謝しております(足を向けて寝られません)。

これまでにない試みであることは間違いなく、患者さんやご家族、そして当クリニックを評価くださっている医療者の方々の期待に応えるべく、引き続き精進していきます。

 

自費診療は儲けではないのか?

確かに、提供しているものに対して、大きな利ざやを得ている自費診療もあります。

それもあり、「自費診療」というと高価なイメージがあります。

しかし先述の虎太郎先生のお父様のように、「良いもの」を提供したい場合に、保険診療の枠内ではどうしてもそれが難しいので、自費のほうが良い医療ができるという考えで選択をしているのも「自費診療」です。

なお当院は、保険外併用療養費(予約料)を自費で頂戴しておりますが、診療本体や薬剤等に関しては、保険診療で行っております。

正確に言うと、保険診療を主とし、予約料という自費を頂いているという形です。

それなので、完全な自費診療ではございません

自費を頂戴しているので、完全自費診療だと思われてしまいがちですが、そうではなく、保険診療に保険外併用療養費を加えての形式です。

 

なぜ完全自費診療にしなかったのか?

症状緩和のためには、しばしば薬物による緩和が不可欠です。

ただ、症状の緩和に有効な薬剤である「医療用麻薬」は、自由診療では処方できません

医療用麻薬が処方できなければ、患者さんの症状を緩和できない場合もあります。

それなので、完全自由診療という形式は、私の中にはありませんでした。

必要な薬剤を、保険診療のもとに処方する、それが患者さんの苦痛緩和に必要だと思ったからです。

私も大腸内視鏡を定期的に受けますが、その先生も自由診療か保険診療かを適切に分けておられます。

他で大腸内視鏡を受けるより高額ですが、その先生しか考えられません

それだけのものを提供していると、様々な理解から、私は考えるからです。

次回に続きます。

 

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About 大津 秀一

緩和医療専門医/緩和クリエーター。数千人の患者さんの緩和ケア、終末期医療に携わり、症状緩和のエキスパートとして活動している。著書や講演活動で、一般に向けて緩和ケアや終末期ケアについてわかりやすくお伝えすることをライフワークとしている。