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医療用麻薬でも痛みが取れない? でもちょっと待ってください

 

「先生、医療用麻薬が効きません」

そのような相談はとても多いです。

どれどれ……と、量を確認すると。

MSコンチン®20mg/日。

あるいは

オキシコドン10mg/日。

はたまた

ナルサス®2mg/日。

時として

フェントス®テープ1mg/日。

書くくらいなので、皆さんも感づいてくださるでしょう。

そう、開始量で、最低の量です。

 

種類よりも量

私達は、薬を飲んで、比較します。

普通はどんどん増やしません。

それなので、例えばオキシコドンを飲んで効かないと、

「この間、フェントス®テープは良いって効きました」

「リリカ®は効くそうですね?」

と、別の薬剤を希望される患者さんもいらっしゃいます。

これは、医療用麻薬治療に対する、情報伝達不足です。

と申しますのは、医療用麻薬は最初の量(最低の量)でスパッと痛みがゼロになることは必ずしも多くありません

増やさないと効かない、それが医療用麻薬です(※ただし増やせば良いというものでもなく、専門家の腕の見せ所です)。

最低量で使って効かない医療用麻薬の種類を切り替えて、また最低量で使っても、やっぱり効きません(特別な例外を除く)。

種類よりもまずは量が大切です。

増量する際は、こわごわするのではなく(かといって拙速にもせず)、効く量までしっかり増やしてゆくことが重要なのです。

それで効くのか効かないのかが判定できますが、多くの場合に効きます。

 

でも医療用麻薬で眠気が増えてしまう……

眠気には一週間程度で減弱して消えるものと、ずっと残るものがあります。

特に骨転移痛や神経障害性疼痛(神経の痛み)などのやや難易度が高い痛みに関しては、しばしば医療用麻薬を増やしてゆく一辺倒の治療では限界があります。

そこでは別の薬剤を「併用」します。

先程名前が出たリリカ®などはたいへん知られた「神経の痛みの薬剤」ですが、ことがんの痛みに関して、一般に医療用麻薬を上回る効果を示すものでもありません。

リリカ®は鎮痛補助薬と呼ばれますが、基本的に、鎮痛薬である医療用麻薬の「補助」なのです。

したがって、「変更する」のは上策ではなく、「補助的に」加える、というのが良いやり方です。

 

まとめ

医療用麻薬を出してくれる医師はとても増えました。

命も縮めず、病気も悪くせず、意識も低下させず、メリットが大きいのですから当然のことです(ただしがんの場合。がん以外の場合の医療用麻薬治療は熟慮が必要です)。

一方で、初期量を出したっきりのケースもまだまだ散見されます。

ただ確かに、増量や、その他の薬剤を加えるべきタイミングなど、いろいろと考えるべきことがあるのが医療用麻薬治療です。

大病院では、薬剤師や看護師がアシストするなど様々な工夫が為されていますが、それでも医師の外来では医療用麻薬治療の意義や留意点、副作用やその対策などについて、十分伝える時間や不安に対処する時間が乏しいのも現実です。

医療用麻薬の調整は緩和ケア医の専門分野であり、介入をお願いするのが良いと考えます。

まとめとして、医療用麻薬が出ているのに効かない場合は、「量が足りないかを医師に尋ねて増量してもらう」「他の薬剤を”足す”ことを検討してもらう」という2点と、それでも変わらなければ緩和ケア医の介入をお願いするように動く、ということが良策となるでしょう。

 

 

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About 大津 秀一

緩和医療専門医/緩和クリエーター。数千人の患者さんの緩和ケア、終末期医療に携わり、症状緩和のエキスパートとして活動している。著書や講演活動で、一般に向けて緩和ケアや終末期ケアについてわかりやすくお伝えすることをライフワークとしている。