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がんを患っている方の睡眠障害は一般的

がんの患者さんにとって睡眠障害は珍しくない症状です。

頻度については20~50%と報告によって差異があり、またサバイバーも20%程度あるとの推測もあります。

Insomnia in the context of cancer: a review of a neglected problem.

その原因は複数あると考えられます。

身体の症状や環境の変化、今後のことへの不安、他の精神疾患の併発(うつ病やせん妄等)、薬剤性など、がんの患者さんの睡眠障害の原因は多様かつ併存しえます。

 

薬物ばかりに頼らない対策

ガイドライン類も容易にオンラインで手に入る時代です。

日本睡眠学会のガイドラインが閲覧できます(がんに特化したものではありません)。

がんの患者さんの場合も、睡眠薬の使い方は大きく変わるわけではありません。

もっともうつ病やせん妄の存在等には注意を払わねばなりません。

さて、同ガイドライン。

睡眠薬の適正な使⽤と休薬のための診療ガイドライン

非薬物療法に関しても詳しく表で解説されています。

睡眠障害非薬物療法

上記の対策をできるものから行ってゆくことが重要でしょう。

また下記の各睡眠薬に関して非常に詳しいサイト

睡眠薬(睡眠導入剤)

にも記載がありますが、日本人は寝酒に頼る人が多く、不眠やアルコール依存の温床になっています。

元アイドルの事故でも話題になりましたし、潜在的に同問題を抱えている方は少なくないと思われます。

生活習慣を変えることも重要な治療です。

そしてそれは副次的な問題発生をも防ぐでしょう。

 

睡眠障害の薬物療法の基本

相対的には、非ベンゾジアセピン系の薬剤が依存や耐性を形成しにくいとされ、現在は第一の選択となるでしょう。

ラメルテオンやスボレキサントなどの新しい機序を持っている薬剤も、選択肢に入ります。

トリアゾラム(商品名ハルシオン)、エチゾラム(商品名デパス)などの超短時間型あるいは短時間型のベンゾジアセピン系薬を長期間用いている方は、中止により離脱症状や反跳性不眠のリスクがあり、たやすく切り替えられるわけではありません。

うつ病の不眠には抗うつ薬が、せん妄の不眠には抗精神病薬がそれぞれ適応となります。

寝付きが悪い場合は効きが早い睡眠薬を、途中で起きる場合は比較的長く効く睡眠薬を選択し、なるべく1剤で対応できるようにします。

各薬剤の詳細は先述のガイドラインやリンク先に詳しいので興味がある方はご覧になって頂くと良いでしょう。

私も易しい専門書の自著『世界イチ簡単な緩和ケアの本』『間違いだらけの緩和薬選び』で睡眠障害の対処について解説しています。

 

まとめ

拝見していると、睡眠障害があっても仕方ないと様子を見ていたり、お酒で紛らわしたりしている方が多い印象もあります。

しかしがんの場合も他の病気の場合も、単に気持ちの問題だけで睡眠障害になっているわけではなく、複雑な身体的なメカニズムも関与していることが知られています。

また、不眠がうつ病に前駆したり、また遷延する不眠がうつ病からの回復を妨げたりするなど、その負の影響が明らかになっています。

がんの寛解後の不眠もうつ病再発の予測因子になるともされています。

甘く見てはいけない側面もあるので、未病を治すべく、早期に緩和していきたいものです。

 

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About 大津 秀一

緩和医療専門医/緩和クリエーター。数千人の患者さんの緩和ケア、終末期医療に携わり、症状緩和のエキスパートとして活動している。著書や講演活動で、一般に向けて緩和ケアや終末期ケアについてわかりやすくお伝えすることをライフワークとしている。