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私には医療用麻薬が効きません

 

「私には医療用麻薬が効きません」

そうおっしゃる患者さんがいます。

「あるいは(医療用麻薬の)○○○は効かない。他に良い薬はないのですか?」

そのようなご相談もありますね。

そんな時、患者さんとしては何を知っておくと良いのか?

次の動画をご覧ください。

 

まずは考えなくてはいけないのが○の不足

確かに、本当に効かない、正確に言うと効きづらい痛みもあるのは事実です。

難治性の神経の痛み(神経障害性疼痛)などがそれに当たります。

そのような場合は、各種の手段、例えば神経ブロックなどを時に組み合わせる必要もあります。

けれども、必ずしもそのようなケースばかりではないです。

しばしばあるのが、説明不十分な開始による治療の誤解に伴うものです。

重要なこととして、医療用麻薬は増やさないと効かない、という情報があります。

初期用量でかなり良くなる場合もありますが、増やしてゆく過程で緩和が進むことは珍しくありません。

初期用量で効かなくても増やしてゆくと緩和されることがある、と事前に聞いていないと、時に早期の中断につながってしまいます。

 

オキシコドン20mgで全然効きません

「オキシコドン20mgで全然効きません」とおっしゃる患者さんもいます。

この量が多いか少ないか、ということですね。

実はこの量はまだ少ないです。

これくらいの量で効かなくて、眠気もないのならば、さらに増量して効果を得られる可能性がありますね。

下記もご覧ください。

 

目安は、ある程度以上の量使っていて、増やしても眠気だけが増える時

ある程度の量(例えばモルヒネ換算120mg/日=オキシコドン80mg/日)まで増量しているにもかかわらず、鎮痛効果が今一つの場合や、増やしていっても眠気だけが増えてしまうような場合は、鎮痛補助薬などの別の薬を組み合わせる必要があります。

最近は鎮痛補助薬も知名度が増えましたが、巧く使うのには知識と経験が必要であり、基本的には難しい痛みは緩和ケアの専門家の受診を希望するのがベストだと考えます。

痛みのアセスメントも重要だからです。

【参考動画】

 

先に副作用が出るために

世の中には、効果より先に副作用が出る薬剤が多いです。

私の領域だと抗がん剤抗うつ薬などが当てはまりますが、量不足の場合の医療用麻薬もそれに該当します。

どちらも消えるのですが、吐き気(対策すればほぼ出ない)や眠気投与初期に出るため、これで痛みの緩和まで今一つだと治療の不安・不信・誤解を招きます。

本当は緩和ケアの専門家のもとで医療用麻薬を開始すればベストなのですが、(専門家の数の不足から)そのようなケースはむしろ少数で、また一般外来では時間が不足しているので、特に投与初期は病院薬剤師の服薬指導を受けたり、緩和ケアの看護師(専門看護師や認定看護師)に薬剤の使用法を教わったりするなど、患者さんやご家族も工夫されるのが最良と考えます。

次第に眠気や吐き気はなくなり、良好な鎮痛効果を得られますので、まずはしっかり情報を聴取し、医療用麻薬治療に臨むと良いでしょう。

(追伸;なお最初の動画で紹介したように、Gノートという医学雑誌で「医療用麻薬の種類別の使い分け」について説明したので、各薬剤ごとの違いについてお知りになりたい医療者の方はそれをご覧になっていただくと良いと思います)

 

 

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About 大津 秀一

緩和医療専門医/緩和クリエーター。数千人の患者さんの緩和ケア、終末期医療に携わり、症状緩和のエキスパートとして活動している。著書や講演活動で、一般に向けて緩和ケアや終末期ケアについてわかりやすくお伝えすることをライフワークとしている。