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悪液質をご存知ですか?

皆さんは悪液質をご存知ですか?

あくえきしつ、と呼びます。

がんは悪液質を起こします。

がんの末期の方が痩せるのも、悪液質からです。

悪液質は複雑なメカニズムで起こり、ここを1つブロックすれば改善するというものではありません。

また、悪液質を起こすのも、進行したがんです。

したがって、がんが高度に進行すると、がん自体が悪液質のメカニズムを生み出すため、コントロール不能となってしまうのです。

悪液質は、単なる食事摂取不良ではなく、平たく言えば「栄養を利用できなくなってしまう病態」です。

しかも筋肉のもとである蛋白を分解したりする物質まで、体内で生成されているとも指摘されています。

それなので、食べても食べても、太い血管から高濃度の栄養液(高カロリー輸液)を行っても、患者さんは痩せてしまいます。

なお、この悪液質の病態は、飢餓とは異なっているため、がん患者の末期は「餓死」という表現は間違っています

餓死のようなエネルギー不足ではなく、栄養の代謝障害(利用障害等)が本質であり、実際に飢餓の場合は筋肉量が比較的保たれるにもかかわらず、先述したように悪液質は筋肉が分解されるため筋肉量の低下が著しいなど、病態や表現型が異なります。

悪液質により消耗し、感染などにも脆弱化し、全般的な衰弱も進行します。

がん患者の最期は悪液質によってもたらされる、等とも表現されるゆえんです。

逆に言えば、この悪液質を防ぐことができれば、患者さんはより長期に生存できるという可能性があるのです。

 

初の悪液質治療薬

2018年11月27日、グレリン様作用薬のアナモレリンが「がん悪液質における体重減少及び食欲不振の改善」の効能・効果で国内製造販売承認申請が行われました。

初の悪液質治療薬になります。

発売されたらバカ売れしそうですね。

非小細胞肺がんの患者さん(第II相試験)や、大腸がん、胃がんおよび膵臓がんの患者さん(第Ⅲ相試験)で研究が行われ、ベースラインに比べ12週後の除脂肪体重上昇が平均1.89倍でした。

参考;食欲中枢に作用するアナモレリンが消化器がんの「がん悪液質」に有効な可能性

効き方ですが、アナモレリンはグレリン様作用薬です。

グレリンは消化管から分泌される食欲促進ホルモンで、脳の下垂体で成長ホルモンの分泌を促し、また視床下部に働いて食欲を増進させます。

それらを通して筋肉量や体重を増加させ、悪液質を改善するというのがそのメカニズムです。

悪液質のメカニズムは、グレリンだけを介しているわけではないので、時計の針を反転させるほどの効果はないかもしれませんが、これまで有効かつ長期に作用する薬剤がとにかく少ない病態だったので、どれだけ臨床的な効果を顕現するのか、使用が俟たれます。

「どのがん種まで適応になるのか」という議論もあるようであり、患者さんの視点では全腫瘍に適応されると良いでしょうね。あと薬価がどうなるかです。

悪液質は臨床家にとっても頭が痛い問題で、名前はあまり知られていませんが多くの進行がんの患者さんにも実は切実な問題です。

期待される薬効を示してくれることを願いたいですね。

まだ承認申請なので、最近の審査期間は10カ月程度のようですから、その後の承認→発売となってくるでしょう。

 

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About 大津 秀一

緩和医療専門医/緩和クリエーター。数千人の患者さんの緩和ケア、終末期医療に携わり、症状緩和のエキスパートとして活動している。著書や講演活動で、一般に向けて緩和ケアや終末期ケアについてわかりやすくお伝えすることをライフワークとしている。